5 みすずん
「M先生へ
はじめまして。 私は都内に住む22歳のOLです!
早速相談なんですけど、実は私職場の上司(35歳課長)のことが好きになっちゃったんです! いつもしっかりしていて、服装のセンスもいいし、会話も上手いし優しいし……!
本当、胸が苦しくて……!
課長には奥さんがいるんです。でも課長もまんざらじゃないっていうか、私の事多分嫌いじゃないと思うんですよね。
二人で食事に行ったこともあるし、もう課長には運命感じちゃったっていうか……。
ただ問題がやっぱり奥さんだと思うんですよぉ。
出会ったのが遅かっただけで、私と課長ってお似合いだと思うんです!
M先生、何でも解決してくれるんですよね? 合法的に私と課長がゴールインできるようにしてくれませんか?
みすずんより 」
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「 みすずん、こんにちは! M先生だよ!
分かるとも、恋の悩みって深刻なんだよね! みすずんが課長と感じてしまった運命こそが、本当の赤い糸に違いないさ!
M先生もちょこっと魔読心術を使ってみたけど、確かに間違いない! 課長は君のことが気になっているようだよ! やったね!
そこでみすずんの言う通りに邪魔になるのは奥さんだね……! M先生はいつでもみすずんの味方だから、合法的に奥さんがいなくなるようにしてあげるよ!
具体的に言うと、課長は君の同僚のなつみちゃんとも仲良しでね、二年前から出張と偽っては二人でいちゃいちゃ旅行に行ってるんだ!
そこの写真を奥さんに送ってあげれば、いろんな事を我慢していた奥さんもさすがに怒髪天を衝いて離婚を切り出してくれるんだよ、パーフェクトだね!
ああ、ちなみにその会社は奥さんのご両親がメイン取引先だから、確実に課長はクビになるけど君たちの運命の前では何の問題もないよね?
もちろんなつみちゃんも、泣いて奥さんにすがる課長に愛想を尽かしてさっさと会社を辞めちゃうから、課長にはみすずんしかいなくなるよ!
M先生の別名は恋のキューピットさ!
じゃ、早速写真送ってくるね!
M先生より」
みすずんより「やっぱり同僚と付き合うことにしました。M先生ごめんなさい、私の相談は忘れて下さい」
「……ううむ。運命はどこに行ったのだ! 折角何の障害もないというのに!」
妻に土下座する課長を魔千里眼で見ながら、魔王は首を傾げるのであった。