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3 サッカー少年

「M先生


 僕は中学3年生の男です。最近ずっと悩んでいます。

 小学校の頃からサッカーをやっていて、毎日2時間、今は3時間練習をしています。

 部活もサッカー部に入りました。

 中学校1年生の時に友達になったYが一緒の部活やジュニアクラブにも入ってくれて、毎日の練習も付き合ってくれています。すごく良い奴で、感謝しています。

 Yは勉強も運動もできるので、僕と練習しているうちにすぐにサッカーも上達しました。僕の方がずっと前からやっているのに、今じゃ同じくらいのレベルです。

 先週、ジュニアクラブで試合のメンバーが発表されたのですが、僕はスタメンに入れませんでした。すごくショックでした。なによりショックなのが、僕じゃなくYがスタメンに選ばれたことです。

 どうしても納得できないし、悔しくてたまりません。

 僕はどうしてもスタメンで出たいです。M先生、僕の悩みをどうにかしてください!


 サッカー少年より」




 * * * * * * * * * *




「 サッカー少年くんへ


 やあやあ、今日もサッカーを頑張ってきたかな? もちろんM先生は君の味方だ。

 悔しいだろう、悲しいだろう。

 小学校から今の今まで頑張ってきたというのに、そんな大事なレギュラーの座を親友くんに取られるとは! 腸煮えくりかえってもおかしくないね!

 そんな君にはこれを同封しよう!

 魔界画鋲虫がびょうむしだ。これを君の親友……いやもう親友でもないね、Yくんの靴の中に入れたまえ!

 この画鋲虫はすごいぞ。こんな一円玉サイズなのにYくんが靴に足を入れる。するとすぐさまぱっくりと口を開けて足を噛みちぎるんだ。

 もちろん噛みちぎるから足は無くなる。Yくんはこれから一生車椅子の生活になるし、もちろん二度と君のレギュラーの座は奪われない。

 Yくんの抜けた穴を君が埋め、悩み解決! 君はスタメンだ! やったね!

 ちょっと思ったんだけど、スタメンとイケメンって似てるよね!


 M先生より」




サッカー少年より「M先生、画鋲虫は使いませんでした。返送します。Yのその後を想像したら、どうせ嘘だろうと思っても靴に入れられませんでした。人を嫉んじゃいけないって教えようとしてくれたんですね。ありがとうございます」



「おい、部下ミドリ。ちょっとこの靴に足を突っ込んでみろ」


 暇そうに外を見ていた娘は、魔王の差し出した靴を見ると顔を顰めた。


「足食われるじゃないですか、魔王様。暇だからって悪戯はやめてください」

「俺は暇ではないぞ。色々な相談にのっていて、大変忙しい!」

「はいはい」 

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