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「わたくし、ヘルメス公爵令息と婚約解消されましたら修道院にいくと決めておりましたの。最初こそ反対されましたが、事情を説明したら、2つの条件を満たせばいいと許可がおりましたの。家格が下の我が家から婚約解消をすることは不可能だったので、ヘルメス公爵家から婚約解消を申し出ていただく必要があったのですが、想定より時間がかってしまったので、今からでも修道院にいく準備はできていますわ。」
一切目線を合わせなかったフローラはそう言い切ると久しぶりにテオドールの目をまっすぐ見つめた。
テオドールが一目惚れした吸い込まれるような美しい茶色の瞳が、久しぶりにテオドールの姿を捉える。
「2つの条件?」
どこか晴れ晴れとした表情のフローラは普段の社交界で会うときに比べて相当地味な姿であるにもかかわらず、とても美しくテオドールの目にはうつった。
ここ最近、どこで会っても学校で上位のの成績を修めてるトは思えない失礼な態度をとり、アメリアの悪口を汚い口調で話し続けるフローラとは別人だった。だから、テオドールは予定よりも長く彼女と話したくなり、疑問をなげる。
フローラから愛称のテオではなくヘルメス公爵令息と距離をおく呼び方をされていることからは目をそらして・・・。