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~もう一つの抵抗運動~ [1]章 始まり
これは、尾崎大介の妻、尾崎富美代のもう一つのレジスタンスです
2012年 2月 12日
東京 新宿市
さっき夫の大介から連絡が来た。
内容はあまり教えてもらえなかったが、今日ロシアに旅立つと。
“すぐに帰る”という言葉を残して。
“すぐに帰る” 彼がいったら、約束どおりちゃんとすぐに帰って来た。
だから、あまり心配はしなかった。
だが今は違う。
心配しすぎて頭がどうにかなるのかと思ったぐらいだ。
ここまで心配する理由は今手にあるこの新聞の一枚の記事にあった。
そこにはこう書いてあったのだ。
『ロシアの村、町消える。ロシアの新たな兵器開発が原因か』
瞬時に思った。ロシア…。今日大介が出発したのはロシアだった。
「大丈夫だよね?大介」
尾崎 大介の妻、尾崎 富美代は、新しい命が宿り、ふくらんだお腹を触りながら言った。
ふとすると、富美代は慌てて、持っていた記事を投げ捨て、玄関に急いで外に出た。
最初はこんな感じで始まってしまいました。