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4章 仲間

「有志!右に一匹いるぞ!」

大介は叫んでいた。意外と敵はしぶとかった。数はこちらしか多いはずだが、敵は回復するので中々死なない。

確かにこの銃は強い。弾があたると相手の体に大きな穴が空く。だが奴等に空いた穴はみるみる塞がっていくのだ。奴等の回復能力は半端じゃない。

やはり、頭を撃ち抜かないと確実には死なないのか?

だがその“アタマ”は銃弾をさらりとかわしてくる。まるで映画でも見ているような光景だ。

例えるならばそう「マトリックス」だ。

ひゅんひゅんと飛んでいく銃弾を右に左へと軽やかに避けていく、その光景を思い出した途端に笑いが込み上げてきた。なぜならそのままの通りだったからだ。

しかしその笑いはすぐに銃声で消される。そして我に戻る。

これは映画でも漫画の世界でもない。これはまぎれもなくリアル(現実)だ!

そう思った瞬間に体が動き、銃口を化け物の頭に向ける。まるで操り人形のように。

俺は狙って銃のトリガーをひいた。銃弾はバンッという銃声とともに化け物の頭に向かっていく。真っ直ぐに。

グチャッという音が周りに響く。頭にあたったのだ。そして豪快に化け物が倒れていった。その倒れて『ドサッ』という音が鳴るまで俺は視界から外さない。

倒れてた。化け物はピクリとも動かなかった。死んだのだ。

気がつけば有志達が残りの化け物を倒していた。

俺達は化け物に勝ったのだ。この修羅場を乗り切った。だが…震えが止まらない。ガクガクと手が震えていた。

有志が俺の様子に気がついたのか傍にかけよってきた。

「大介!大丈夫か?」有志が心配して言った。

「ああ…悪い。大丈夫だ…けど」大介が答える。

「けど?」

「今更だけどよ…震えが止まらねぇんだよ、怖くて怖くて…目の前に転がっている仲間の死体を見ると…俺も化け物に殺されると思うと…怖くて仕方ねぇんだ」

大介は震えながらしゃべった。今までと戦ったことがない化け物。仲間の死。そして自分の死への恐怖。全てが怖かった。今まで一緒だった仲間が殺された。目の前で…。

有志がそれを聞いて答えた。

「大介。それは俺も一緒だ。いつ殺されると思うと怖くて仕方ねぇ。でもな、それが仲間のためになると思うか?」

そう言うと、有志は大介の震えてる手を強く握り有志はやさしく言った。

「俺達は生き残るんだ。死んだ仲間のためにも、俺達は生き残らなければならねぇ。絶対にだ。お前には家族がいるんだろ?ならなおさらだ。」

有志がやさしく言うと、俺はいつのまにか震えが止まっていた。恐怖も消えた。

俺は有志に負けないように強く言った。

「ああ、そうだな」

俺が言うと有志はニヤリと笑った。

俺も笑みを返しそして言った。

「有志。ありがとな!」

そして有志も笑みを浮かばせた。

すると本田が声をかけてきた。

「終わったか?隊長は今、衛生藩の佐々木に見てもらってる所だ。命に別状はないらしいが重傷らしい。よって場所を移して隊長を治療しなくてはならない。そこで、誰かどこか隠れられる場所を探してきてほしいんだ。出来れば少人数で、私や林が行ってもいいが…隊長があの状態ではな…」

本田はそこまで言うと黙ってしまった。

すると、大介が一歩本田の前にでた。

「俺が行きます!行かせてください!」

「なら、俺も行きます」と、有志も言った。

「本当にいいのか?あの化け物がうようよいるかもしれないんだぞ?」

「はい!」と大介は強く言った。

それにつれて有志も頷いた。

本田は了解したように二人に通信機を渡した。

「隠れれる場所が見つかったら、これで連絡してくれ。コードは0.0716だ」

「わかりました」大介は答えた。

「銃はそれを持っていけ、それしか役に立つはずだ。あとそれと…」

そう言って本田は腰のポーチから三個の硬くつやつやした物を取り出した。

「破片手榴弾だ。三個ある持っていけ。何か役に立つはずだ」

「ありがとうございます!」

「よし、では行ってくれ!隊長は安全な所まで運ぶから心配するな」

「はい!」


俺達は街の方向へと歩き出した。

すると、後ろから足音が聞こえてきた。あの化け物かと思いびっくりして後ろを見るとそこには、林と数名の隊員の姿があった。

「林さん、どうして…」

「やはり二人じゃ厳しいと思ってな。隊長からの命令さ」

大介と有志はクスッと笑いまた歩き始めた。

俺はこの仲間達を絶対に死なせないと心に誓った。仲間の死に様はもう見たくない。そして、雪村…無事でいてくれよ。

俺はヘリからの脱出した時の事を思い出していた。

燃えて落ちる雪村篤の乗った第二部隊のヘリの事を…

生きていてくれよ、雪村!

俺の顔に不安さが、でていたのか心配して有志が話しかけてきた。

「…篤のことか?」有志が言った。

「なら、大丈夫だろ。あいつが死ぬようなたまじゃないことはお前が一番知ってるじゃないか」

「…そうだよな」俺は静かに返事を返した。

大介は少し嫌な予感がしていた。

まるで全てを終わらすかのように…

無事だよな?なぁ雪村?

大介はその嫌な予感をなぎはらった。

その“予感”が当たるとも知らずに…



2012年 2月 13日 6:29

その頃、雪村篤の乗った第二部隊のヘリは墜落し、炎上していた。






























































































感想お待ちしております。

更新遅れてすいません。

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