2章 ロシア上陸
2012年 2月 13日 4:42
ロシア上空
ついに、俺たちは確実にロシアに近づいていた。
「見えたぞ、ロシアだ。」
山口が言った。今回の極秘任務で俺と山口が一緒になった。
雪村は突撃部隊の第三部隊、俺らは第二部隊、室谷隊長達は第一部隊だ。
突然、トランシーバーが鳴りだした。隊長からだ。
「もうすぐでロシアに着く、準備をしておけ。」
すると、隊員の1人が何かに気づいたようで俺に声をかけて来た。
「あれ…何ですかね。何か建物みたいなものが…」
そう言われて初めて気づいた。しかも…1個じゃない。
「なんなんだあれ…あんなの初めて見た。いや見た事がない。」
俺は、急いで通信機をとった。
「隊長!見ましたか!?あの建造物!」
「ああ、今確認した。何もないと思うが一応様子を見配っていてくれ。」
ヘリは、その建造物の真上を通りすぎようとしていた。
…異常はない。何か変わった変化もない。
何の変化もないまま、建造物の真上を越えた。
これは…
「…何もおこりませんね。」
「なんだよ。見かけだおしかよ、ビビらせやがって。」
俺も山口も何もおこらなかったので、一安心し、隊長に報告しようとしたその時だった。
豪快な爆音が響いた。ドカーンというそれもとてつもない。
俺は見た。たぶん、山口も。
第六部隊のヘリが炎上して、宙をまっていたのだ。
そして地球の重力でヘリは落ちていった。
地面にへと…。
俺達は驚愕だった。
言葉もでず、ただ第六部隊のヘリが落ちていく様子を眺めていた。
隊長に報告しなければと思ったのには、数十秒かかったかも知れない。
いや、もしかしたらそれ以上。
それぐらい俺はぼーっとしていた。
我に返った時には、山口が通信機を取っていた。
「隊長!第六部隊が!何者かに撃墜され…」
山口は固まった。そして窓を疑視していた。
俺も山口が見ている方向を見た。
解った、そう解ったのだ。
第六部隊のヘリを落とした物、謎の建造物の正体が。
そこには、全ての答えがのっていた。
そう、謎の建造物はいわば大砲。いや、大砲というよりはミサイルに似た形。
が、何発もいや何十発のミサイルをヘリに向けて撃ってきているのだ。
すぐに、隊長から返事が返ってきた。
「なんとしてでも逃げきれ!」
その言葉とともに、操縦士がヘリを右に傾けた。
だが、建造物は右にも左にもある。避けるのには至難の技だ。
しかし、今は信じるしかなかった。
俺達が出来る“こと”はそれぐらいしかなかったからだ。
2012年 2月 13日 4:57
ロシア
あの後、結局俺達はヘリを撃墜させられる直前にパラシュートでヘリから脱出したのだ。
そしてみんなバラバラになってしまった。
一体何処にみんな着陸したのだろうか?
山口とも途中まで一緒だったが、別々の地点に着陸してしまった。
だが、俺は山口よりも雪村を心配していた。
なぜなら、パラシュートで飛んだ時に雪村が乗っていた第二部隊のヘリが爆撃されたのを見たからだ。
だが、幸運な事に当たったのはヘリの胴体でなく、ヘリの後ろのプロペラだったからまだ大丈夫とは思うが…
大丈夫。雪村ならきっと生き残っているはずだ。
あいつは、悪運の強いヤツだから…きっと…。
俺は、とりあえず仲間と合流しようと思った。
ヘリから脱出するときに隊長から通信がきたのだ。
隊長は「いいか、脱出したら北にある『ハバロフスク』を目指せ!そこが合流地点だ!」
そして、隊長からの通信は途切れた。
隊長(第一部隊)達も無事だとは思うが…。
それにしても“あれ”はなんだったんだ?
ミサイルのような形をしていて直径が東京タワーぐらいはあり攻撃してきたあの謎の建造物。
あれは一体誰が作ったのか?
ロシアは確かに軍や兵器はかなり強力で世界でほぼトップの座をアメリカと競争しているぐらいだ。
しかし、あんな兵器は今まで見た事がない。
例えトップのロシアでも、そして次のアメリカでもあんな物は…。
あんな兵器はたぶん…つくれないと思う。
いや、絶対に。正確に狙ってくる弾道ミサイル。そしてそれを撃つミサイルの形をした謎の建造物。
とてもじゃないが、地球の科学力ではあんなものは…。
じゃあ誰が?何の為に?あれも『例の極秘実験』に関係しているのだろうか?
そしてこの街の有様はいったい…。
大介は空から地面を眺めた時も、パラシュートで着地した時もこの街の有様が気になっていた。
まるで戦争した後のような姿をした街。
枯れた木々。壊れた建物。崩れかかって煙を出している高層ビル。
ロシアからの緊急連絡からまだ一日しかたっていない。
一体何が起こったのだろうか?
住民は?どこかに避難したのだろうか?それとも…死ん…
そこで、大介が考えている時その思考は遠くからの爆音で止められた。
何かあったのか?
大介はその爆音があった場所に急いで向かった。
とりあえず、見えやすい様に少しもりあがっている丘に登った。
何やら銃声も聞こえて来た。
…誰かと戦闘中なのか?
大介は少し丘から顔を出して見た。
するとそこには、第一部隊のヘリが炎上していた。
そこの近くで誰かと戦闘しているのがわかった。
あれは…隊長!室谷隊長だ!
遠くからでも隊長が仲間に指示しているのがわかる。
隊長達(第一部隊)が何者かと戦っているのだ。
あれは…何だ?
人間…いや、それにしては肌の色が黄色にちかい色。そして…背中から何か生えてないか!?
ちくしょう、遠くてよく見えない。
隊長達は一体、何と戦っているんだ?
連絡しようとしたが、通信機が壊れている事に大介は気がついた。
ならば…!
大介は携帯用の武器をとりだした。
普通に自衛隊で配布されているハンドガン『シグP228』
自動式拳銃型で多数の弾丸を詰めたマガジンによって次弾が装填される。
単発でフルオートは無理だが、半自動式拳銃でとても役に立つ。
俺の愛用の銃だ。
しかし、今そんな事を言ってある場合ではない。
速く隊長の所に駆けつけなければ!
俺は愛用の銃『シグP228』を片手に持ち、急いで隊長達の所に走った。
「急げ!ヤツらをこちらに近づけるな!」
室谷隊長は叫んでいた。あいつ等は何者なんだ?あいつ等にもう何人か仲間を殺されてしまった。
ちくしょう!化け物め!
「林!お前は右にまわれ!本田!おまえは左だ!回り込んでいっせいに攻撃する!いけ!」
隊長が叫んだ後、林と本田は左右に走っていった。
それと同時に、ほかの仲間も走っていった。
隊長も援護射撃をする。
だが、向こうも負けてはいない。
まるでこっちの作戦が読まれていたかの様にヤツらは左右に別れて攻撃してきた。
…どうやらヤツらもバカじゃないらしい。
少しは化け物にも知能があるということか…。
「ひるむな!応戦しろ!」
一方、大介も隊長達の戦っている場所へと近づいていた。
…頼む!間に合ってくれ!
この後、大介は知る事になるだろう。
隊長達が戦っている謎の化け物のことを…。
そして確実に近づいていた。
人類敗北の日に…。
確実に…。一分、一秒確実に。
やっと更新できました。
遅れて申し訳ありません!