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翠三葉(あおいみつは) は 翠朋也(あおいともや) で出来ている  作者: 椛こま


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翠三葉は翠朋也で出来ている 

 

 沢口と八木とナオはじっと目の前の人物の顔を見つめた。

 ナオなどぽかんと口を開けたまま。

「一卵性の四つ子だ。そっくりで当たり前だろう」

 目の前の人物、四葉はあきれた声を出した。

「あなたが四葉さんなのは呑み込めたが、なぜここにいるのですか?というかあなたはどこにいたんですか?神服(はっとり)博士は?」

 沢口は頭に浮かんだ事をそのまま口に出した。

「別に私は初めから逃げてもいなければ隠れもしていないよ。アメリカの研究施設にずっといたさ」

「じゃあ、アメリカに行ってからは三葉と一緒だったんですか?」

「いや、別の施設だ。三葉とは5歳に別れてから会っていない」

 まだ、何かあるか?と言いたげに四葉は手を上げた。沢口は首を振った。

「では、訪問の本題に入ろう」

「みなさん、初めてよろしいでしょうか?」

 三葉の顔した四葉の横に並んだ金髪碧眼の男は流暢な日本語で確認した。

「ああ」

 沢口も、まだ四葉の顔に見入っていた八木とナオも慌てて体制を整える。

 警視庁の地下資料室に客が来る想定がなかったため、ここには客用のソファーや椅子などがなかった。沢口は適当に椅子を運んでくると二人に勧めた。

 二人は勧められるがままにその椅子に座り、目の前のデスクにPCを置いた。

 沢口はこの男ロバートを知っている。神服一馬(はっとりかずま)博士の友人という人物の助手だった。

「簡潔に話そう。私は今アメリカで民間の警備会社を経営している」

 そう四葉は切り出した。

「二年前、とある大金持ちのご令嬢の警護を依頼された。その令嬢の警護をしているうちにある事実を掴んだ。うちが警護していたご令嬢は本当のご令嬢ではなくスペアなるものだということを。その令嬢は生まれながらに難病に罹っていて、その難病を直すためには骨髄を提供してくれる適合者が必要なのだ。私たちはその適合者を警護していたのだが、それに気づくと同時にその適合者が違法にこの国に連れてこられたという事実も知り得たわけだ」

「うちは合法的に仕事をしているからね、気づいたからにはそれを政府に報告する義務がある、仕事柄と生い立ち上私は政府高官に知り合いがいて、まずそこに相談した。そして、闇の人身売買組織の捜査に協力してきたんだ。そして、その組織の大きな卸元が日本にあるということまで突き止めて今ここに来ているわけだ」

 分かったか?と四葉は自分を囲む三人の顔を見つめた。

「せっかく日本にはるばる戻って来たから、私は唯一の血を分けた姉妹三葉に会おうと思って、ちょっとそちらも調べたんだよ。そしたら、三葉の夫がここの捜査官だということを知ってね。しかも、その男、翠朋也なる人物は今潜入捜査の真っ最中だということもね」

 沢口は四葉の言わんとしていることを理解した。

「そちらが追ってきた組織が今井のいる組織なのか」

「そう、その通り。日本から人間を商品として運んでる組織のトップが今井という男だ」

 ロバートがPCに今井の写真を映し出す。どこで撮られたか分からないが日本ではないことは確かだった。

「今井は次の荷の出荷を準備している。この出荷を潰せないともう次に奴のしっぽを捕まえることは難しいだろう。私たちはこの出荷を止めるためにここにいる、君たちの上にも話はつけたので全面協力をしてもらいたい」

「もちろんです」

 沢口は大きく頷いた。

「では早急に三葉の夫に連絡を取りたいのだが?」

 四葉のその言葉に三人は顔を見合わせた。

「そうしたいのは山々なんですが、昨日から朋也とは定期連絡が取れない状態なんです」

 沢口の言葉に四葉は少し考え込んだ。

「とりあえず、こちらの情報とそちらの情報を整理し、作戦を立てようか。出荷の日時は近い。ぐずぐずしてはいられない」


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