1.職場見学
更新ペースは遅いかもですが、お付き合い頂けたら嬉しいです!
いや、ダメだろこれ。
どんなに時給良くてもこれはダメだろ。
命の危険がある仕事とかその、警察とか自衛隊とか消防士とかってちゃんと同意してから訓練受けてからなりますよね!
いきなり数十匹のゴブリンと戦ったりするのはダメですよねー!!!
っていうか俺、スーツにネクタイなんですけどー!
ヒュン!
これはゲームではないとわかる、リアルな風切り音を立てて矢が俺の頰を掠める!脳内でツッコミ入れたりクレーム出してても死ぬな、と理解が追いついたところで、漸く地に足がついた感じがした。
ここは異世界。
俺は転移させられて、出てきたのは魔導師が囲う魔方陣でもエッチな王女が待つ王城でもなくて荒野の砦の「外側」。
「新しい異邦騎士様が召喚されたぞー!」
「なんか変な鎧着てるな」
「騎士様がんばれー!」
背後からは、安全な砦の中からファンタジー調の鎧を着たおじさん達の応援が飛んで来る。一方目の前にはゴブリンの大軍!仮に素手の美少女だって10人がバット持ってきたら死ぬと思うんですが!剣とか弓矢持ったゴブリンが50匹くらい!死ぬ!
先週クビになるまで、家電量販店でネットの勧誘してたんですけど!俺!
いい条件ですぐ入れる派遣の仕事があるって言われて、普通異世界とか思わないですよね!
普通に新宿の小さな事務所で登録して、「じゃあすぐに顔合わせ行こうか」って言われて・・・ええと、暗い奥の部屋に入って・・・あ、
右手に、その時渡された杖を握っているのに気がついて俺は覚悟を決めることにした。
もしこれがハードなハイファンタジーの世界なら、貧弱な現代日本人の俺なんて、戦おうが砦まで走って逃げようが死ぬに決まってる。
それなら、もう一つの可能性を試さずに死ぬのはバカだ。
杖を掲げる。教えられた呪文は・・・
「メリ・エリ・ホリナレオ!(焔の群れは、我が敵と踊る)」
握っていた手からワイヤーで引っ張られたみたいにフワッと杖が2メートルくらい浮かび上がると、爆散した。
「ウソーん!使い捨てなのー?!」
詰んだ!と悲観しようとしたが、杖はちゃんと仕事した。杖の爆発した焔は爆発時の直径2メートルくらいの火球の大きさを保ちながら、冗談みたいな高速スピードで周囲を暴れまわり、ものの数秒でゴブリンだった消し炭だけが残る。
ドッと砦から歓声が上がる中俺は、おばあちゃんの火葬のときの匂いを思い出してちょっと吐いてしまった。




