あさ
初めまして。山岩です。
初めての1歩です。
生暖かく見守って下さい。
りんりんりん
鈴の目覚まし音で目がさめる。辺りはまだ真っ暗闇だが、慣れた仕草で隣に寝ている人を起こす。
『おきて。』
ぺしぺしと頬を軽く叩けば、眉を寄せながらももぞもぞと動いたので大丈夫だろう。自分はさっさとベットから抜け出し、部屋をあとにした。
しんと静まり返った長い廊下を音を立てないように進むと、光の漏れる部屋へと入っていく。
『おはよー。ごはんちょーだい。』
中にいるでっかい人に声をかけると、作業を止めた背中が振り返った。
「おう。おはよぅさん。」
つり目ぎみの金の瞳が軽く細められる。表情はあまり変わらないが、彼はいわゆるイケメンだって言ってた。だれかが。
自分も彼はイケメンだと思ってるよ。だって美味しいごはんくれる。
「今朝は赤豚丼だ。いっぱい食えよ。」
いつものテーブルの席に着くと同時に出されたご飯に、勝手にほほがゆるむ。自分は魚より肉派だと彼はちゃんとわかってる。
訂正します。彼は超イケメンです。だってご飯超美味しい。
デザートのブドウをゆっくりハムハム食べていると、どんどん人間が増えてくる。
これから「おきゃく」のご飯の支度をするそう。自分はやることないのでさっさと退散するのだ。ごちそうさまでした。
ご飯の後は決まっている。入ロとは逆の方へ向かい、人が出たり入ったりしている扉から一度外に出た。ここは建物の裏側だから、そのまま建物沿いに進む。
外はまだまだ暗いが、なんのことはない。が、少し肌寒いので急いで行こう。
目的地の小屋の前では、小さいオジサンが厳つい顔を更に厳つさせていた。
『おはよー。』
厳ついおっちゃんはそのまるの顔でちいさく「はよ」と返す。おっちゃんはこれ以上大きな声を出す気がない。そのため今みたいな静かな時間はいいが、周りが五月蝿いと、何にも聞こえない。自分は聞きとれるけどね。
おっちゃんが軽く顎で日の前をさす。それに釣られ自分も視線を向ける。おっちゃんの日の前には腕いっぱいに広げても抱え込めそうに無い太さの丸太が3本置いてあった。
とことこと丸太の前に行き、まん中の1つをさす。
『これ。』
「ん。」
会話はそれだけ。
おっちゃんはまん中の丸太に手を伸ばす。おっちゃんよりでっかい丸太を持ち上げ、まるでお手玉を投げるかのように頭上に放り投げた。
月明かりが何かに反射するのが見え、
ドコンバコンカンカンカン
一瞬遅れてマキが積み重っていった。
いつの間にかおっちゃんの手もとにはオノが握られていた。
『まんだー。』
『おう。チビ。いつものか。』
『そうー。よろしくおねがいします。』
頭の先から尻尾まで真っ赤なヘビが小屋の中から出てくる。友達のさらまんだーだ。小屋の中の釜を住みかにしているらしい。
たまたま友達になった。
せっかくだからちょっとだけ働いてる。おっちゃんが釜で何かするのの手伝いと、温泉の湯加減の調節ってゆうのをやってる。らしい。
その報酬がさっきおっちゃんが割ったマキ。
まんだーはグルメなんだって。自分が選んだ丸太が、その日の食べ物(?)気分にピッタリだって言ってた。
だから自分が選ぶんだ。てきとーだけど。
まんだーとおっちゃんは作業に入っちゃったけど、自分のやることはない。ここは温かいから、窓際にある自分専用のイスの上でしばし休憩。




