笑える薄っぺらい人生
俺の名前は、湊川 春 今年大学に入学した18歳の学生だ
自慢でも何でも無いが俺は心の底から笑った事がない
俺は両親と3人で暮らしていた
しかし、小学校に入学した翌日いきなり親を亡くした。
車で出かけている途中で事故にあったらしい。
覚えてないが…
その事でみんなが俺を哀れんで愛想笑いしかしなくなり、その人たちのおかげというべきだろうか…自分も愛想笑いが自然と出来るようになっていた。
愛想笑いをしていれば、無表情で気味悪がられていた時よりもずっと相手の対応が良くなったのもあったと思う。
そしてその事を抱え込み、愛想笑いを繰り返しながら中学、高校と上がってきた。
大学になる頃には俺の愛想笑いは、みんなが使っている心からの笑顔と何ら遜色ない笑顔をマスターして、友達も人並みに作れるようになった。
ある日の事、俺は友達が入るというサークルの新歓に誘われて行ってみた。
友達や先輩方と色々何気ない会話をしながら、楽しそうに過ごしていた。
ここでもやはり俺の愛想笑いスキルが生きてくる
と思っていたが不意に隣にいた先輩が話しかけてくる
「お前ってさ、笑い方に違和感あるよな」
その言葉を聞いた瞬間、自分の顔を覆っていた仮面に亀裂が入ったように思えた。
そして、何故かとても逃げたくなる衝動に駆られ、自分の財布から飲み代を出し、会場から無我夢中で逃げた。
ただ笑い方に違和感があると言われただけなのに自分の中ではそれは今まで積み上げてきたものが崩れ、何もなかったかのように思えてきたからだ。
そして何も考えず走っていた俺は横断歩道でバイクに引かれて死んだ