第5話
光が収まるとそこは既に見慣れた教室ではなかった。
神殿とでもいえばいいのだろうか、周りには白を基調とした、ところどころ金で修飾された空間が広がっている。
その荘厳な雰囲気に飲まれ、声を発することができる者は誰もいなかった。
「皆様、突然のことで驚きでしょうがまずは私の話をお聞きください」
「っ!」
いつの間に居たのか、その女性の声によって現実へと引き戻される。
腰まで伸びたほんのりと紫がかった真っ直ぐな髪に、その異国風な顔立ちはひどく整っている。そしてその身にはトーガを纏っており、その姿はまるで女神という存在を体現しているかの様だった。
「私の名はルースフィリア。今からあなた方が転移する世界の神です」
状況からもしかして⋯、とは思っていたがやっぱりか⋯⋯
「その世界のとある国が異世界人召喚の儀式、いわゆる勇者召喚を行いました、それによって呼ばれたのがあなた方です。
その世界には魔物などの身近な危険があり、また、魔法やスキルなどの概念も存在しています。
あなた方は世界を越える際に、その世界への最適化、適応が行われ、言語や文字の理解。さらに、自身の持つ技術、個性で一定の水準を満たしたものがスキルへと昇化されます。また、世界を越えるという行為そのものによって霊格が強化されるため、ステータス補正を持ちます」
「マジで!魔法が使えるのか!」
「あ、あの、元の世界には帰ることはできるんですか?」
現状に理解が追いつくとともに、自身の置かれている状況を喜ぶ者と不安を募らせる者がチラホラとあらわれる。
だがその問についてはみんなが疑問に思っていたのか、じっと女神、ルースフィリアの答えを待つ。
「それはあなた方次第といったところでしょうか。その世界はありとあらゆる可能性を秘めています。異世界から呼ぶことができるのだから、その逆も有り得なくはないのです。
なお、世界を越える際に元の世界でのあなた方は元々存在して居なかったことになるので、集団失踪などの心配はありません。また、元の世界に帰還すると居なかったこと自体がなかったことになり、転移する前と同じ状態へと戻ることができます。
さて、そろそろ時間のようです。あなた方に幸があらんことを⋯⋯」
「あっ、待ってくだ⋯⋯」
そしてまた、先程と同じように光に包まれる。
「え?」
光が消えるとそこには俺と女神以外残っては居なかった。
「あなたにはまだ話があります」