第3話
「よーし、そろそろHRはじめ⋯⋯」
「間に、合ったー!!」
ガラガラと大きな音と共にドアを開け入ってきたのは、1人の女子生徒だ。
「あ、しろちゃんおはよー」
そう言って彼女は俺の隣の席についた。
「おはよ、未里。今日は遅刻ギリギリだな」
俺のことを「しろちゃん」と呼ぶ彼女は八坂未里。さっき言ったもう1人だ。
茶色がかった髪をショートヘアにしており、本人のほわぁとした雰囲気と相まって小動物のような可愛らしさがある。
「う〜、しょうがないんだよ。バカゆうが起こしに来てくれなかったんだから」
「俺は保護者か!それに今日は起こしにこなくていいって言ったのは未里じゃねぇか」
「あれ?ゆう、私そんなこと言ったっけ?」
「言ったって」
未里と雄介は、家がマンションの隣どうしで昔からの幼馴染らしい。
この2人はクラスでもバカップルだ、なんだと色々言われているが、そのたびに2人して顔を真っ赤にして否定している。
はぁ、ほんと早くくっつかないかな⋯⋯
お互いに「相手には言わないでね」と釘を刺されたうえで、相手に振り向いて貰うにはどうすればいいか相談される俺の身にもなってほしい。
「ごっほん、ではHRをはじめる。今日は⋯⋯」
こうして今日も何時もと変わらない学校生活が始まる。
この時はまだ自分たちがあんなことに巻き込まれるなんて思いもしなかった⋯⋯