第2話
「ふわぁぁ⋯⋯」
教室に入った途端、周囲の目が一斉に自分のことを見るのがわかる。いつものことなので気にしないで自分の席へと向かう。
「うーす。お前も大変だな、ジロジロ見られて。疲れたりしないのか?」
「おはよ。慣れれば案外大丈夫だぞ。」
「慣れって⋯⋯
そういうものかねぇ」
こいつの名前は久滋雄介学校で話す数少ない友人の一人だ。
「そういうものだ。それに向けられてるのも、見慣れないものを見る好奇の視線だけだしな。悪意のある訳でもないし、そういう目に比べたら全然楽だな」
「はぁー、まぁお前がいいならそれでいいけど。俺は普通にカッコイイと思うけどな、白髪、赤目とか」
「そう言ってくるのお前ぐらいだぞ」
そう、雄介が言うように俺の見た目は白髪赤目、いわゆるアルビノというやつだ。
しかし俺は普通のアルビノと違い、視力障害などがまったくない。ただ髪の色が白く、目が赤いだけ、肌も白いことは白いが雪のように真っ白ではなく一般的に美白と呼ばれる類いのもの、それ以外は普通の日本人だ。
つまり見た目だけな訳だ。医者にも初めて見たと言われるぐらい、それだけだ。
これでも昔は身体が弱く、よく風邪をひいていたので見た目がアルビノなだけで他の病気なのでは、と調べたが身体が弱いのは体質の問題で、まったく異常は見つからなかった。
イナリに首飾り、お守りを貰ってからは風邪などもひかなくなり(医者からは成長して免疫力が高まったからだと言われたが)、医者からも見た目がアルビノ寄りな以外はまったくの健康体です。とお墨付きを貰っている。
「白髪赤目とか物語の主人公みたいでいいと思うけどなぁ」
「まだいうかお前は⋯⋯
っと、そろそろHRの時間か」
そうこうしているうちに、HRの時間が近づいてきたので雄介も前を向く。
雄介の席は俺の前なのでそれだけでいい。こいつと仲良くなったのは席が近かったからだが、席が違ってもきっと仲良くなっていたと思う。
雄介は人に偏見を持たずに誰とも分け隔てなく接する。また、顔立ちも整っているので、その性格の良さと相まってかなりモテる。人望もあり、人をまとめるのが上手くクラスのリーダー的存在である。
俺がクラスで馴染む⋯まではいかなくても、ある程度の立ち位置を得ることができたのは雄介とあと1人のおかげだ。