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第10話



「異界が勇者たちよ、我等の召喚に応じて貰いありがたく思う。

 私の名はベリル=フィール=ヘリオドール。この国、迷宮国家ヘリオドールの国王をしている」


 あの後アレーシャに連れられて部屋から出た俺たちは現状の説明をして貰うはずが、連れてこられたのは国王の前だった。


 説明するにもこんな大掛かりなことをして、外面を気にしなくてはいけないとは上の立場の人も大変なんだな。と、つい場違いなことを考えてしまう。


「では早速本題に入る。単刀直入に言おう。諸君らには魔王を倒して貰いたい」


「魔王、ですか?」


 勇者と呼ばれた時から薄々気づいてはいたが、予想通りテンプレ異世界召喚のようだ。


「そうだ。この国と、いやこの世界では魔族とその他の種族で戦争をしている。その魔族を束ねているのが魔王と呼ばれる魔族だ。

 諸君らにはその魔王を倒し、いやそもそも何故今になって魔王が産まれたのか調べて貰いたいのだ」


「魔王を倒して終わりじゃないのですか?」


「ああ。この世界に魔王が、魔の王としての意味で魔王が現れたは、実に約1000年ぶりなのだ。

 今までも魔族の王としての魔王なら居たのだが、今代の魔王はいささか邪悪が過ぎる。このような魔王は約1000年前の一度しか現れて居らん。そして1000年も前となると当時の資料もほとんど残っていなかったが現存する資料の1つにこのような一節があった


『邪の王現れし時、世界に災厄が訪れる。不倶戴天の御旗の下に邪悪が集いし時、始まりであり終わりでもある、混沌たる災悪がその姿を現す。災悪の顕現を以て世界は混沌に包まれる。』


と⋯⋯

 つまり今代の魔王の暴走は始まりに過ぎないのではと私は考える」


 ふむ、つまり


「つまり、私たちには魔王を倒し災悪の顕現を止めて欲しい。ただ、魔王を倒すだけで災悪の顕現が止まるのかは分からないのでその調査もして欲しい。ということですね?」


 雄介も同じ結論に到たったようだ。

 

「ああ、その通りだ。話が早くて助かる。

 ただ私は無理に戦えとは言わん。戦場に置いて精神の在り方は死と直結するからな。

 しかし例え戦うつもりが無い者でもこの世界で生きていくには力が必要だ。

 そのために諸君には明日から全員参加で訓練を行って貰おうと思う」


 まぁ無難だな。このまま勇者だからといって、右も左もわからない状態で不満を抱えたまま戦場に送り出してもただ死ぬだけだ。たとえ生き残ったとしても心が壊れる可能性が高い。

 とりあえずこの国はまともなようだ。まだ安心はできないが。


「急に色々言われても、整理する時間が必要だろう。1人に着き1室与える。今後諸君がこの城に滞在する間はその部屋を使って貰う。食事の際には使いの者を送らせるので、それまで部屋で休んでいてよい。

ではアレーシャ、案内してやれ」


 こうして王との初の面会は終わりを告げた。



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