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プロローグ
これは遠い昔の記憶。
「本当にお主は身体が弱いのう」
そう言って彼女は困ったように頬をかいた。
「しょうがないだろ、そういう体質なんだから」
そんな彼女の言葉につい、ぶっきらぼうに返してしまう。しまった、と思うがもう遅かった。
「また、暫らく会えないのかのぅ?」
その寂しげな声に心臓をきゅっと締めつけられたような痛みを感じ、何かを言おうとするが、何やら決意を決めたような彼女が言葉を発する方が早かった。
「本来は駄目なんじゃがお主は貧弱だからのう、儂が守ってやるのじゃ。特別じゃぞ?」
いきなりの事に俺は話について行く事ができず、返事をする事が出来なかった。彼女はそんなこと気にもせずに話を続けてしまう。
「ほれ、これを肌身離さず持ってるのじゃぞ」
そうして渡されたのは、琥珀色の勾玉が付いた首飾りだった。
「これを持っている限り、儂がお主を守ってやる。約束じゃ⋯⋯」