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Top of SKYー音速の海鷲ー  作者: ほーらい
10/10

2nd FLT「リフレッシュウィーク」①

鹿児島県鹿屋市。


県庁所在地の鹿児島市とは錦江湾を挟んだ反対側、大隅半島に位置する人口10万人の田舎町


軍都としての歴史は深く、1936年に大日本帝国海軍、鹿屋海軍航空隊が設置されて以来、大東亜戦争においては、真珠湾攻撃訓練の中核、そして特別攻撃隊の主要出撃基地として栄えてきた。



南北を山に囲まれ、西は“薩摩富士”開聞岳を望む錦江湾、東に鹿屋の市街地が広がっている。そんな風景の中、小高く広い丘の上、東西に伸びた2本(パラレル)の滑走路。



その北側には桜島の火山灰で所々暗灰に焼けた駐機場(エプロン)にP-1哨戒機、F/A-18FJ戦闘機、米海兵隊のKC-130が並んでいる。


海上自衛隊鹿屋航空基地


通称「ファイタータウン」


戦後においてはアメリカ軍の進駐を経て、海上自衛隊航空部隊発祥の地として、主力の哨戒部隊に加え、ヘリコプター教育部隊と替わるように新たに艦上戦闘機部隊が誕生した。また、米海兵隊の空中給油輸送機の訓練基地としての顔も持ち、文字通り国防の最前線に位置している…


錦江湾から聴き慣れたジェットサウンドが南北の山にこだましてきた。


2機の鋭角的な戦闘機が西から現れ、滑走路の真上を通過(オントップ)したと思うと、左急旋回で散開(ブレイク)し、旋回角で運動エネルギーを殺しながら着陸態勢に入った。


(ギア)を下げベースターンに入った機体は減速するに従って徐々に機首上げ(バックサイド)になり、滑走路に吸い込まれるようにタッチダウンした。



駐機場(エプロン)ではパイロット、WSOが飛行前後の点検、列線員が整備や燃料補給に忙しなく動いている…



着陸した機体は地上誘導路(タクシーウェイ)を縫いながら駐機場(エプロン)へ歩みを進めると、誘導員(マーシャラー)手先信号(ハンドシグナル)に従いエプロンにマーキングされた停止位置でブレーキを踏み込む。



パイロットの手信号で両脇の列線員が機体下に潜り込み、タイヤを留めるチョークが挿入されると、キャノピーを開けてエンジンカットの手信号を送った。



スロットルをOFF位置まで引き下げると、甲高いエンジンの音が一気に窄んだ。



全てのチェックリストを終え、整備員の手で機体の梯子を降ろされると飛行後点検(ポストフライト)を始める。



帰ってきた。

ひと月ぶりの地上。



(ふね)の上で嫌ほど嗅いだ潮の香りはここにはなく、風に乗ってやってくる草木の香りが「地上(おか)」に帰ってきたことをより実感させる。



一通り飛行後点検を終えると、翼下に吊り下げられた、増槽を改造したトラベルポッドから着替えやら艦内生活に必要な荷物を詰め込んだボストンバッグと艦から預かった書類等の段ボールを取り出し、機体に横付けされた軽バンに積み込んだ。



機長のグラスが機体の整備記録にサインをすると、列線員に敬礼し飛行隊のボールキャップを被り飛行隊事務所へ歩み始めた。


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