彼氏と彼女
今日は付き合い始めた彼との初めてのデート。しっかりおめかししていかなくちゃ。
「あれ?お姉ちゃんもお出掛け?」
「あら、貴女もデートなのね。良い一日になるといいわね♪」
「ありがとう、お姉ちゃん。お姉ちゃんも初デートだよね、楽しんできてね?」
私たち姉妹は仲良し姉妹。じゃあ、また後でねとそれぞれ彼との待ち合わせ場所へと出かけて行きました。
待ち合わせ場所にて愛しの彼と無事合流。今日は夢の海な遊園地で楽しむ予定なのだ。
都内から電車で揺られる間も楽しいお喋り。今日はとても素敵な一日になりそう。そう、思っていた。
――――お昼ご飯の時間になるまでは。
「ねー、どうしたの?さっきからよそ見して」
「ん、ああ、ごめん、ごめん。なんでもないよ」
さっきから彼の様子が少しおかしい。よそ見ばかりしているみたい。
『ちょっとー、どこみてるの?さっきから変だよ?』
『え、あ、いや。わりい。なんでもない』
……あれ。どこかで私たちと同じような会話をしているカップルがいるみたい。しかも、どこかで聞いたことがあるような。……んん?
また彼がよそ見している。しかも何かに見惚れているみたい。何かそんなに綺麗な花でもあるのかな?
私は何となく嫌な予感がしつつも彼の視線の先を追う、と。
「あれ?!貴女もここに来ていたの?」
『嘘!お姉ちゃん?!』
「「?!」」
そう、お互いの彼氏が私たち双子の全く瓜二つな姉妹にさっきから見惚れていたのだった。その事に気が付いた私たち姉妹は同時に席を立ちふざけた元彼に言い放った。
『「私たち帰るから!見掛けだけしか見てくれない貴方たちにはもううんざり。別れましょ?さよなら!!」』
私たち姉妹は頭に来て呆然としている男どもを置き去りにし、帰宅したのだった。
『ごめん、お姉ちゃん。場所ずらせばこんなことには……』
「いいのよ。こんな男なんだって早めに気付けたんだから。……貴女もね」
『……そうだね、うん』