プロローグ
硝煙の臭いは嫌いではない。
しかし、あれから三年は経っている筈だが、まだこの空気には慣れない。
これは持論だが、この雰囲気に慣れてしまうと死ぬ。俺はそう思い込むように心がけている。
俺の脳と心臓がじゃりじゃりと疼く。
そう戦場だ。戦場の臭い…ここは『戦場』だ。
1
東京都平井高校に通う芹沢涼は、世界史が嫌いだった。今まで人間が築きあげてきた歴史が嫌いだった。今まで人間が築きあげてきた歴史が嫌いだった。それを学ぶ事も。騙し、殺し、奪う。涼にとって歴史はそれだけの物だった。
無論、そんな授業を受ける気は無かった。
「そういや次世界史だったよな」
隣の席の騎島京が声をかけてきた。こいつとは幼稚園の頃からの付き合いで、親友と呼べる奴だった。
「ん、ああ」
涼は適当に返事をすると立ち上がった。行き先は決まっている。
「また、保健室か?」
後ろを振り向くと、南部継一がポケットに手を突っ込んで立っていた。こいつは所謂イケメンで女子にもかなりの人気がある。こいつとは中学からの付き合いだ。
「そうだよ。今日はかかとが痛い」
「…日々口実が苦しくなるっていくな…」
「それは俺が一番わかってるよ」
涼は苦笑いしながら言った。
「んじゃ」
と言って涼は教室から出た。