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ガチャっと!異世界攻略譚  作者: Fake


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No.06 訓練2

ガルディ「さて、シンジの訓練内容だが。お前、自分のスキルは使ったか?」


シンジ「はい、数回ほど」


ガルディ「んじゃ、それで何が出てきた?聞くところによると、お前さんのスキルは物を生み出せるんだろ?」


シンジ「えっと…」


…どうしたものか。全て正直に話すことも出来るが、少し懸念の残ることがある。それは『銀貨袋』とスキル『身体強化(しんたいきょうか)』の二つだ。


まず『銀貨袋』。この銀貨が『元々この世界にあるもの』なのか、『無から生み出されたもの』なのかが分からない。そして、例えどちらであったとしても問題が起きてしまう恐れがある。


『元々この世界にあるもの』であった場合、当然元々あった場所からその枚数分銀貨が消えているわけだ。これは元の世界ならば、窃盗に該当してもおかしくない。そして『無から生み出されたもの』であった場合、その枚数分製造された覚えのない銀貨がこの世界に存在することになる。こちらは偽造に当たるだろう。


この世界にそういった法律が有るのかは分からないが、少なくとも問題ないだろうと楽観視することは出来ない。よって『銀貨袋』の存在は一旦俺の中で封印するのが最善とみた。なに、自分である程度稼げるようになれば少し使っても問題ないだろう。バレなきゃ犯罪じゃない、と何処かの邪神も言ってたし。


そしてもう一つ、『身体強化(しんたいきょうか)』。どちらかといえば、こちらの方が扱いに困っている。簡単に手の内を晒していいのかと言うのもそうなのだが、それよりもこのスキルの使用が一度きりなのが問題だ。


まだ出てきたスキルがこれ一つな以上、『身体強化(しんたいきょうか)』は俺の切り札とも呼べる代物だ。当然、たかが訓練で消費してしまうのはあまりにも勿体ない。では使わなければいいといった意見も勿論あるが、この騎士団長さんが大人しく引き下がってくれるとも限らない。後から入手できたという言い訳も使えると考えると、伝えないのも一つの手だ。


とはいえ隠し事をしすぎるのも考え物だ。もし仮に隠し事をしているとバレれば、信用を失うのは当然として他の隠し事もあると思われるだろう。そうなった場合、得体のしれない銀貨を隠し持った犯罪者予備軍の誕生だ。要らぬ気をまわして銀貨の事がバレるのは避けたい、どうせいつか分かる事だし話してしまうのもありだ。


...さて、いったいどうしたものか。


シンジ「...いくつかのアイテムと、スキルが一つ」


ガルディ「...何?」


考えた結果、話すことにした。先ほどのアヤカとの訓練、あれを見た今ガルディウスさんの信用を失うのは避けたい。


ガルディ「ひとまずアイテムは後回しだ。スキルのことを詳しく話せ」


シンジ「『身体強化(しんたいきょうか)』というスキルを獲得しました。ただ、使い切りという表示があるので恐らく使えるのは一度だけかと」


ガルディ「...その感じだと、お前さんも詳しくは分からないみたいだな。確かめたいとこだが、軽率に使うには少し惜しい。今は危険な状況に備えて温存しておいたほうがいいぞ」


シンジ「俺も同じ考えでした」


流石は騎士隊長といったところか、先ほどまでの俺の考えは杞憂だったようだ。


ガルディ「それじゃ、次はアイテムを見せてもらおうか」


シンジ「分かりました、まずはこの収納指輪ですね」


ガルディ「ちょっと待て、収納指輪...?Cランクアイテムまで出てくるのか?」


シンジ「そうみたいですね。元の世界のガチャのことを踏まえると、高ランクのものは低ランクよりも出にくいと思いますが」


ガルディ「だとしてもだ。金貨30枚は下らない代物だぞ」


金貨30枚というと...30万円?Oh...


シンジ「そ、そんな高級品だったのか...」


ガルディ「容量がデカい上に、類似品の収納袋よりもかさばらないからな。生産も難しくて、欲しくても手に入らないような奴もいるくらいだ」


おまけに入手困難、流石はCランクアイテム。これが原因でトラブルが起こんなきゃいいが...。


ガルディ「まさかとは思うが、他のアイテムもこのレベルなのか?」


シンジ「いや、出てきた中でこれが一番高ランクでした。後は剣と回復薬ですね」


収納指輪からその二つを取り出す。


ガルディ「...普通の鉄の剣と、回復薬だな。先ほどとの落差がすごいな」


シンジ「ガチャはそういうものですから...」


ガルディ「とはいえだ、お前さんのスキルがかなり強力なことは分かった。戦闘の面で言えば運だよりになるスキルなんて論外だが、それを補って余りあると言えるだろう」


アヤカ「当然ですっ!なんたってシンジのスキルなんですから!」ドヤッ


シンジ「なんでお前がドヤるんだよ」


突然横からアヤカが出張ってきた。凄く嬉しそうですね、貴方?


ガルディ「うし、決めた。シンジ、一回でもいいからガチャ引いてみろ」


シンジ「ひょっとしてそれが訓練とでも言うんですか?」


ガルディ「悪いか?」


シンジ「いや、アヤカの時と随分差があるなと...」


どちらも実技であることに変わりはないが、訓練というには随分と簡単だ。なんせスキルを使うだけでいいのだから。


ガルディ「一応確認だ。お前さんの『ガチャ』、すぐに使えるタイプか?」


シンジ「...?いえ、幾つか工程を挟みますが」


ガルディ「じゃあいい。そんじゃ木剣持て、俺が合図してから『ガチャ』使えよ」


ガルディウスさんが俺に木剣を持たせ、離れ始める。


シンジ「...ちょっと待ってください、まさか」


ガルディ「じゃ、始め」


《ダッ!》


俺の静止の声も聞かずにガルディウスさんが合図をすると、先ほどまで離れていた距離が一瞬にして縮まっていた。


シンジ「くっ!」


《カァン!》


間一髪で振り下ろされた木剣を防ぎ、鍔迫り合いの状況になる。尤も、力量差で徐々に押され始めているが。


ガルディ「おぉ防ぐか、やるな」


シンジ「やるな、じゃないですよ!せめて準備させてください!」


ガルディ「戦場にそんな余裕があると思うか?肝心のスキルも、いざってときに使えないんじゃとんだ肩透かしだ。弱音はく暇があったら、とっとと『ガチャ』を使ったらどうだ?」


シンジ「くぅ...!」


そうしたいのは山々だが、『ガチャ』を使用するにはウィンドウに触る必要がある。ただでさえ鍔迫り合いで押されている状況で、そんなことをしている余裕なんてない。


ガルディ「それとも、今の状況では使えないとか?」


シンジ「...っ!?」


ガルディ「当たりだな、分かりやすい反応だこと」


...容易く見破られてしまった。こんなことなら、朝にアヤカに言われた時点でポーカーフェイスの練習をしておくんだった...!


ガルディ「さぁどうすんだ、このままじゃ押し負けちまうぞ!」


《ギリリ...》


...後悔してる暇は無いな。今はとにかくミッション攻略が先だ、無理やりにでも『ガチャ』を使用できる状況を作る!


シンジ「はぁ!」


《ギャリィッ!》


ガルディ「うぉ...」


力を横に流し、ガルディウスさんの姿勢を崩す。


シンジ(今のうちに距離を...!)


ガルディ「甘い」


《ドゴッ!ズサァァァ...》


シンジ「...かはっ」


俺が距離をとるよりも早く、ガルディウスさんの拳が俺の腹を捉えた。唐突な衝撃に反応できず、受け身も取れずに俺の体が地面に引きづられる。


ガルディ「発想は悪くない、だが足らない。受け流しただけで隙を作れるなんて、そんなのが通用するのはろくに戦闘経験もない奴だけだ。よく考えろ、お前の前にいるのは力も経験もまるで違う『格上(プロ)』だ」


シンジ「...そりゃご丁寧に、どうも」


激痛が走る身体を鞭打って起こす。さてどうしたものか、万全な状況でやってもきついのがダメージを負ってより絶望的になってしまった。今でこそ何もしてこないが、恐らく『ガチャ』を使おうとした瞬間にすぐにでもまた距離を詰められてしまうだろう。


なにか、状況を覆す手はないものか...?


シンジ(とにかく回復薬を...いや、そうだ)


ガルディ(随分落ち着いてるな。すぐにでもスキルを使うと思ってたが、しっかりと状況を見極めている。大方、何か策を考えてるところか?その姿勢は評価したいが、俺はそれを待ってやるほど優しくないぞ?)


《ダッ!》


ガルディウスさんがこちらに突っ込んでくる。


シンジ「はっ!」


《ズザッ!》


ガルディ「...くっ!」


俺は足を地面を引きづりながら勢いよく蹴り上げ、砂を舞い上げる。突っ込んできたガルディウスさんは、勢いよく砂の煙幕の中に入り込んでいった。


シンジ(今だっ!)


_______________________________________________


まさか砂を蹴り上げて煙幕にしてくるとはな、本当に頭の回転が速いことだ。だが所詮はほんの少しの時間稼ぎにしかならない。すぐにでも視界が戻り、シンジの姿を見つけ__


ガルディ「...!?どこだっ!?」


視界が戻ると、そこにシンジの姿は無かった。急いで周囲を見渡すが、何処にもシンジの姿が見当たらない。一体どこに消えた!?


アヤカ「わぁ!」


...?アヤカは一体どこを見て...?


ガルディ「...っ、上かっ!」


アヤカの視線を追い上空に視線を向けると、はるか上空にシンジの姿を見つけた。


ガルディ(一体どうやってあんな所に?いや、それより...)


ガルディ「空中なら時間が稼げるとでも?」


足に力を籠め、シンジの元へ跳躍する。少し反応が遅れればスキルの発動を許してしまっただろうが、今ならまだ間に合うだろう。空中は逃げ道の一つとして有用だが、空中からの逃げ道は無いに等しい。気付かれたのが運の尽きだったな。泣き言は気付くきっかけになったアヤカにでも言ってやれ。


そうして俺は、シンジに向け木剣を振るう。


シンジ「思ってないですよ」


《パリィン!バシャ!》


ガルディ「なっ!?」


ガルディ(なんだ、何が起きた!?)


謎の液体が顔にかかり、視界を奪われる。『水属性魔法』か?いや、シンジはまだ魔法を使えないはず。ならこれは?シンジは一体俺に何をかけた?そういえば、この液体が顔にかかる前に何か物音がした。そう、まるで何かが割れるような。


ガルディ(...回復薬か!)


俺に瓶を割らせ、回復薬がかかるよう誘い込まされたか。なんという判断力、まさか回復薬すら戦闘に用いるとは。おまけに収納指輪があることで、急に手元にアイテムを出し奇襲に使うことが出来る。収納指輪、並びに回復薬。どちらも戦闘に使われた記録はないが、このような使い道があったとは。召喚者の中ではアヤカが一番の実力者と思っていたが、これは考えを改める必要がありそうだ。


ガルディ(だが、まだだ)


目が見えずとも音で位置は分かる。着地した瞬間、その音を頼りに攻撃すればスキルを使う暇は無いだろう。


シンジ「これはお返しです、『格上(プロ)』さん」


《ドゴッ!》


ガルディ「...ぐっ!?」


シンジの一言が聞こえた後、腹部に鋭い痛みが走る。感触的に殴りじゃなくて蹴りか?いつの間に着地を?一体シンジのどこにこんな力が?


シンジ「『ガチャ』」


俺が悩んでいる間にシンジがスキルの名前を呟く。どうやら、俺の負けが確定したようだ。


_______________________________________________


シンジ「『ガチャ』」


『ガチャ』を発動し、出てきたウィンドウに触れる。


シンジ「俺の勝ちです、ガルディウスさん」


これにて訓練、攻略完了。


ガルディ「...ほんと、してやられたな。まさかアイテムをあそこまで有効活用するとは、あんな戦い方初めて見たぞ?」


シンジ「使えるもの使おうと必死でしたから」


ガルディ「結構だ、その精神は大いに役立つ。…が、あの身体能力は何だ?まるでスキルでも使っ…」


そこまで言って、ガルディウスさんはハッとした顔で俺を見つめる。


ガルディ「マジかお前、訓練前の言葉忘れたのか?」


シンジ「忘れてませんよ、そっちこそ忘れたんですか?スキルはいざって時に使えないんじゃ、意味ないんですよね?」


そう、俺は砂の煙幕を上げた後に『身体強化(しんたいきょうか)』を使った。あそこまで使用するのを躊躇っていた訳だが、結局使うことになった。一応スキルの欄を確認するが、やはり『身体強化(しんたいきょうか)』が消えている。


ガルディ「…っは、期待以上だ。シンジ、お前さんイカれてんな。いいぜ、『ソレ』はこの世界では立派な武器だ。有効的に使えよ?」


シンジ「はぁ、そりゃどうも?」


なんだか褒められているのか貶されているのか分からないな。


ガルディ「そういや、『ガチャ』では何が出たんだ?何か『身体強化(しんたいきょうか)』に変わるもんでも出てりゃいいが」


シンジ「そういえば確かに…」


視線を横にずらしてみれば、そこには木製の箱が浮かんでいた。


シンジ「木製か。中身はっ、と」


ハリセン(武器・Dランク)

特殊な素材で出来たハリセン。殺傷能力は無いが、インパクトは絶大。


.........。


シンジ「アヤカ~」


アヤカ「ん、なになに?」


シンジ「悪い、訓練で疲れたのか幻覚が見えてるみたいなんだ。代わりに見てくれ」


アヤカ「は~い、えぇっと、どれどれ?」


アヤカが箱に近づき、中身を確認する。


アヤカ「わぁ、ハリセンだ!」


どうやら幻覚ではなかったようだ。


...いやおかしいだろ!?なんで異世界でハリセンなんだよ、もっと、こう、他にいろいろあるだろ!?なんだよ特殊な素材って、なんだよ殺傷能力の無い武器って、インパクトに関しては本当に何?しかもこれでDランク武器...。鉄の剣より2ランク上のハリセンってどういうこと?


...いかん、なんか頭痛くなってきた。


ガルディ「...なんだ?その、妙に弱そうなやつ。ひょっとして武器か?」


シンジ「ひょっとしてあって欲しくなかったですけど、武器らしいです...」


ガルディ「ほぉう、どれ、少し貸してみろ」


ガルディウスさんにハリセンを渡すと、興味深そうに見回し始めた。


ガルディ「...紙っぽい素材かと思ったが、妙に弾力があるな?こりゃ鍛冶職人でもないと詳細は分からずか。アヤカは知ってるみたいだったが、これはどういう武器なんだ?」


アヤカ「えっと、お笑い芸人さんを叩くときに使うやつです!」


ガルディ「...オワライ、ゲイニン?それはどういう生き物だ?」


アヤカ「お笑いの芸を披露する人たちの事です!」


ガルディ「なるほど、道化師みたいなものか。...いや待て、つまりそれは道化師を叩くための武器ってことか?随分使いどころの限られる武器だな」


シンジ「さすがにそんなことは無い!...はずです」


というかもしそうなら、はっきりいってゴミだ。いやまぁ、殺傷能力のない武器の時点で大分だけど。


ガルディ「...うし、分かった。シンジ、それで俺を叩いてみろ」


シンジ「まぁそうなりますよね...」


こればっかりは俺も賛同せざるを得ない。とにかく使ってみないことには、この武器の真価を推し量れないというもの。なぁに、これでケガするようなことは無いだろう。...おおよそ武器に着ける評価では無いが。


シンジ「そんじゃあ、行きますよ?」


ガルディ「ばっちこーい」


...そうだ、せっかくハリセン使うならあのセリフ言ってみるか。


シンジ「なんでやねーん!」


《バシィン!》


そうして俺はハリセンをガルディウスさんに向けて振りぬき....


ガルディ「うおおおおおおおおおおおおお!?」


それを受けたガルディウスさんの姿は、遥か上空へと移っていた。


シンジ「...へ?」


困惑する俺をよそに、ガルディウスさんの姿はどんどんと離れていく。


ガルディ「ぁぁぁぁぁぁぁぁ......」


やがて徐々に薄れていく叫び声と共に、その姿を消した。


シンジ「......」


アヤカ「......」


__彼は、星になったのだ。

投稿遅れてしまい申し訳ございません<m(__)m>

これからは投稿ペースを上げていくつもりなので、引き続き楽しんでみていただけたら幸いです!

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