No.4 パーティー編成
兵士「シンジ殿!いらっしゃいますか」
自室で本を読んでいると兵士から声を掛けられた。
シンジ「はい、居ますよ。どうしました?」
兵士「国王様から、召喚者一同を呼び出すよう言われまして。ご案内しますので着いてきてください」
国王からの招集か、一体どうしたのだろうか。兵士の様子を見るに、緊急という訳ではないと思うが。
シンジ「分かりました」
どのような要件なのかを想像しながら、兵士の後を追うのだった。
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大広間につくと、ぼちぼち人が集まっていた。
タケル「シンジ!お前も呼ばれてたか!」
シンジ「全員呼ばれてるって聞いてないのか?」
タケル「え、そうだっけ」
リオナ「アタシは聞いたわよ~」
ユウト「俺も~」
ミヅキ「私もそう聞きました...」
シンジ「うん、お前が聞いてないだけだな」
タケル「あれ~?」
もはや実家のような安心感を覚えるやり取りをしていると、国王が大広間に現れた。
国王「...まだ全員集まっているわけではないが我も多忙故、どうかいまから伝えることを後から来る者に伝えてほしい。諸君らには、明日より我が騎士団と共に訓練を始めてもらいたい。参加は強制ではないが、諸君らの身を守るためにも強く推奨する。また、その上で諸君らにはパーティーを組んでもらいたい。パーティーでの戦闘は生存能力を飛躍的に向上させるだけでなく、他者とのコミュニケーションにも大いに役立つ。幸い諸君らの関係は良好のようだ、可能ならばぜひ組んでほしい。ちなみに、パーティーは基本的に4~6人で組まれることが多い。参考にしてくれ」
国王はそれだけ告げると、俺たちに向け頭を下げてから大広間を去っていった。俺たちのような一般人に何度も頭を下げるとは、我らが召喚主様は随分と礼節を重んじる方のようだ。まぁ、この世界における俺たちが一般人という枠組みに収まるかは疑問が残るが。
タケル「聞いたかシンジ!パーティーだってよ!俺とシンジ、あとリオナとユウトとミヅキ、それからアヤカでちょうど6人だぜ!」
タケルが俺に飛びついてくる。少し前の『闘気』を使った時ほどではないが、痛いもんは痛い。
シンジ「そう何度も飛びついてくるな。大型犬か、お前は?それに勝手にパーティーを決定するな。俺はともかく、他の奴が違う人と組むかもしれないだろ?」
リオナ「あら、アタシもタケルと同じつもりだったんだけど。普段からよく絡むし、アンタ達だったらアタシも安心して背中を預けられる」
ミヅキ「そ、そうですよ!むしろ私としては、皆さんじゃなきゃ困ってしまいますし...」
ユウト「まぁもちろんシンジが嫌ってんなら無理強いはしないけどな。俺としてはシンジが居てくれたほうが心強いな」
...どうやら今回は、俺のほうがみんなの気持ちを汲めていなかったようだ。
シンジ「...まぁ、俺もパーティー組むならお前たちだとは思ってたが」
タケル「シンジ...ありが」
《ガシッ》
飛びついてくるタケルの頭をつかむ。
シンジ「次はないぞ?」
タケル「は、はい...すみません...」
シンジ「ただ...懸念なのはアヤカだな。『勇者』なんて特別なスキル持ってれば、どこからも引っ張りだこだろうし」
おまけにアヤカは学級委員長としてクラスメイト達の悩みを聞きまくっているため、クラスメイト達からの人気も高い。争奪戦が行われるのは想像に難くない。
リオナ「...いや、そんなことはないというか。意地でも来そうというか」ボソッ
シンジ「なんか言ったか?」
リオナ「あぁいや...」
アヤカ「私が何?」
リオナ「ひゃあ!!!」
わぁ、リオナから聞いたことない声が出てきた。
アヤカ「...?どうしたの、リオナ?」
リオナ「な、なんでもないよ!うん、なんでもない!」
アヤカ「うーん?まあいいや、それよりシンジ!パーティーでしょ、このメンバーでしょ!私も入れて!」
アヤカが食い気味にパーティー加入を要求してきた。
シンジ「こっちとしては助かるが、いいのか?アヤカならどこでも入れるだろうし、無理して入んなくても...」
アヤカ「入れて」
シンジ「いやでも「入れて」えっと「入れろ」...はい」
アヤカ「やったー!よろしくね、みんな!」
アヤカが(半ば無理やり)仲間になった!てれれれれん!
タケル「よっしゃー!そしたらパーティー名考えよーぜ!」
ユウト「その前にリーダーじゃない?ま、もう決まってるようなもんだけど」
アヤカ「うん、シンジがリーダーね!」
シンジ「ちょっと待て?」
おかしい、勇者がいるパーティーのリーダーに『ガチャ』なんてスキル持ってる奴がなりそうだ。
シンジ「どう考えても『勇者』持ってるアヤカがリーダーだろ」
アヤカ「スキルだけがリーダーの良し悪しじゃないでしょ?シンジは頭いいんだから、みんなを纏められるよ」
シンジ「別に頭良いわけではないよ。成績普通だったし」
アヤカ「成績が必ずしも頭の良さに直結するわけじゃないでしょ?それにシンジはすごく頼りになるから!」
シンジ「...みんなは良いのか?俺がリーダーで」
みんな「うん」
アヤカ「満場一致だね」
シンジ「...さいで」
シンジが(半ば無理やり)リーダーになった!てれれれれん!
タケル「そんじゃリーダー!さっそくチーム名を」
シンジ「いや、もういい時間だし休むとしよう。明日からの訓練に参加するつもりだからな」
タケル「えぇ~、パーティー名は~?」
シンジ「リーダー命令だ」
タケル「職権乱用反対!」
リオナ「いや、流石にシンジに賛成ね。慣れない環境でゆっくり休めるか分かんないし、休める内に休むに越したことはないでしょ」
タケル「むむむ…」
シンジ「心配せずともパーティー名は後でしっかりと考えるよ。だから今は休め、お前のスキルは特に体力が必要そうだしな」
タケル「わかったよ、約束だからな!」
そうして、タケルは部屋へと戻って行った。それに続いて他のメンバーも各自部屋に戻り始める。
シンジ「さて、俺も…」
アヤカ「ちょっと待って」
自分も部屋に戻ろうとしたとき、アヤカから声をかけられた。
シンジ「どうした?」
アヤカ「その...このあとさ、シンジの部屋に行ってもいい?ちょっと二人で話したくてさ」
シンジ「別に構わないが...さっきも言った通り、明日の訓練に備えて早めに切り上げるぞ?」
アヤカ「うん、大丈夫。じゃあ案内してくれる?」
そうして俺はアヤカを自室へと案内するのだった。
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シンジの部屋___
シンジ「で、話ってのは?」
アヤカ「.........」
シンジ「...アヤカ?」
アヤカ「えーい!」
シンジ「どわぁ!?」
急にアヤカに飛びつかれた。おかしいな、今日だけで3回も人に飛びつかれてる。
アヤカ「えへへ、シンジ~♪」
シンジ「…はぁ、何かあったのか?」
こうなった時のアヤカは、大抵何かしらあった時の合図だ。本人曰く、俺に飛びつくことで癒されているとの事。全くもって意味がわからないが、向こうの世界で一週間に1回くらいのペースでやられる為少し慣れ始めてる自分がいる。
シンジ「とりあえず話してみろ、その様子だとなんか悩みがあるんだろ?」
アヤカ「...実はね?訓練場で王様に呼ばれてたでしょ、そのことで話したいことがあって」
シンジ「確か、『勇者』スキルで確認したいことがあるって要件だったよな?」
アヤカ「うん、で、その話なんだけど。実はこの世界に他にも何人か勇者が存在するんだって」
シンジ「...ほう?」
それはつまり、アヤカと同じく『勇者』のスキルを持った人物が他にもいるということだろうか?
アヤカ「どうやら勇者って特別に強い人に贈られる称号であって、スキルとして発現した前例がないらしいんだよね」
シンジ「...ということは、国王たちも実態がよく分からなかったからあんなに確認されてたってことか」
アヤカ「そうみたい」
成程、国王達からしても不可解なスキルだが、強力な人物につける称号の名を冠したスキルでもある為放置する訳にはいかないということか。
シンジ「…それで、それが何か関係するのか?」
アヤカ「実はね…王様から他の勇者のパーティーに入らないかって提案されてさ」
シンジ「…どう答えたんだ?って、さっきの様子を見れば分かるんだけど」
アヤカ「想像の通り断ったよ。ただその、それでも周りからの期待がちょっと、ね」
シンジ「それでこうしてると」
アヤカ「うん、シンジで休憩~♪こっちの世界来てから、プレッシャーが凄くてさ。何時もより沢山やらせてもらうことになるかも」
シンジ「…まぁ構わないけど」
アヤカ「やった!じゃあお言葉に甘えさせてもらお〜♪」
そう言うとアヤカは俺に体を預け始めた。クラスの人気者である彼女とこんなことをしていると知られれば、俺はクラスメイトの殆どから袋叩きにあうだろう。
それでも、彼女にはこうした息抜きが必要だ。それを俺にしか出来ないと言うのなら、断るようなことはしない。
そうして俺はしばらくの間、彼女の癒し道具になるのだった。なお、終わり際に駄々をこねたアヤカが手強かったが何とかして部屋に戻ってもらった。




