表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

目覚めの時間

秋山村史あきやまそんし

本作の主人公。柿塚大学の法学部に通う1年生。昼寝していたら帰宅すべき時間である17時を過ぎてしまっていた。駅を目指し、闇の中を歩き続ける。普通の人と比べて感覚がズレている。


斎藤佑樹さいとうゆうき

柿塚大学の法学部に通う1年生。常に明るくハイテンションな性格で友達が多い。見た目と言動からわかるようにチャラ男だが根はとても真面目で毎日予習復習を欠かさず行なっている為、常に睡眠時間が短く目にくまが出来ることが当たり前になっている。かなりの心配性。


大塚謙信おおつかけんしん

柿塚大学のスポーツ健康学科に通う1年生

斎藤佑樹の友達。佑樹と話していたらいつの前にか帰るべき時間である17時を過ぎており、学校に取り残されてしまった。スポーツ万能で義理人情に厚く受けた恩は死んでも返すのがモットーでラグビー部に所属している。


長井環奈ながいかんな

柿塚大学の図書館で司書をしている女性。元々は市の図書館の職員だったが、結婚を機に退職していたが、子供が小学3年生になった事をキッカケに柿塚大学の図書館の司書として仕事を再開した。その為、17時までに帰らなきゃいけないなんて事を知らずに図書館が閉まる18時20分まで仕事をするつもりでいた為、人知れず大学に取り残されてしまった。昔から心臓が弱い。


謎の大男

先天性のアルビノらしく肌の色素が薄い。体格がよく斧を自在に使いこなして、主人公達を襲いくる。

殺しを楽しんでいるようだ。

はぁはぁはぁ。

息を荒くしながら俺達は、図書館を目指していた。

大塚が大男にタックルを決めてくれていなければ今頃俺は死んでいただろう。

借りが出来たな大塚。いつか必ずこの恩は返すよ。


いいってことよ。とにかく今は逃げる事に集中しよ。


ああ。そうだな。


その頃。

はっ!

あれ?

私どうしたんだろう?

随分と暗いし、足が痛む。

ズキズキ。

頭まで痛くなってきた。

確か…。

大男が居て、秋山君を殺そうとしてたから逃す為に大男に木の破片を刺して。

それから何か秋山君に何か言った気がするけど…?


ッ。

首に鋭い痛みが走る。


...あぁ、そうか!

首を刎ねられるところだったんだ。


恐らく首を刎ねられる瞬間に気を失ったんだ。お陰で、少し斬られただけで、刎ねられずにすんだのだろう。

だか、頭を打ったようだ。直前の記憶がない。


何はともあれ生き残ったらしい。

ってそれならそうと早く逃げないと。

皆んなはどこに行ったのだろうか?

よく覚えていないが、確か話し合ってた時に、変電所の方に行くと言っていた気がする。

足は痛むが何とか立ち上がる。

幸い少し無理をすれば歩けない事はない。

とにかく皆んなを探さないと。

首の傷はハンカチで抑え足の怪我は持ってきていたタオルで縛りつけとりあえずの止血を施した。

これでよし。

荷物も持った。

行こう。

長井は、変電所を目指し歩き始めた。


ようやく図書館に着いたな。

俺達は何とか階段を登り切り、先程までいた1階へと戻っていた。

そうだ長井さんの死体はあるのだろうか?


怪我の痛みもあるが俺の額から冷や汗が吹き出してくる。

二人の口数も少なってる。

顔は見えないが、いいしれぬ緊張感が伝わってきた。

それもそうか。もしかしたら首なし死体を見る事になるのだから。


恐る恐る机が壊れた辺りを照らす。

死体がなく血の塊だけがあった。

大男が持ち去って行ったのか?

いや大男は、すぐに俺達の方を追いかけてきていた。

死体を何処かに運ぶ時間なんてないはずだ。

もしかしたら、長井さんは生きていて何処かに逃げたのではないのだろうか?


やっぱり長井さんは生きているんじゃないか?

きっとそうだ。生きているんだよ。

斎藤が嬉々としてそう言った。


俺もそう思う。

今は無事な事を祈る事しか出来ないな。

それはそうとまずはこの謎かけを解かないと。


改めて謎かけの文章を読んでみるか。


人が作ったようで実は昔からあったもの。

それの発見で人々は太陽を得た。

光を生むのに、私は光ではない。

音を流すのに、私は声ではない。

身近にあるのに、人は案外分からない。

私が流れた時、世界は動き出す。

私は一体誰なのか。

答えを導いた者だけがこの門を通る資格を得るのだ。


うーん。何だろうねぇ〜。

身近にある物で、案外人は分からない。

そんな物ある?


身近のもんで、しかも昔からあると言えば、やっぱり火とか?もしかして調理室とか?


いやそれじゃあ他の文章の意味と繋がらないだろ。もっと別のもんのはずだ。


じゃあ水とかは?ほら昔からあって水力発電とかで光を生み出してるじゃん。


...。


いやいや違うだろ。だとしたら音を流すとかの説明が出来ないだろ。

それにこいつがあるだけで世界は別に動き出すわけではないだろ。


うーんそうなのかぁ〜。


待てよお前ら。この文章はあくまでも問題を解く為のヒントでしか無いんだよな。

つまり、これに当てはまらなくても答え自体はこのヒントに近しいモノになる筈。

じゃあ無いのか?


た、確かに。


その上で答えを導かないといけないわけだが...。

何なんだ?

昔からあるもの。

人々は太陽を得た?

考えろ。考えろ。


もー難しいってこれ〜。

僕もうお手上げ〜。


お手上げなんて言ってる場合か。

もっと真剣に考えろ。


そんな事言われても分かんないし〜。


太陽。光。発電。

!!

まさか。


おい大塚。

お前さっきなんて言った。


え?分かんない〜って。


違うもっと前だ。

水がどうとか。


あー。

水力発電。


そう!それだよ。昔からあって俺たちの身近にあるモノ。



答えは電気だよ。電気。

!!

斎藤は気づいたようだが、大塚はキョトンした顔つきでこちらを見ている。


悪い悪い。

一から説明するわ。

まず、最初の人間が作ったようで昔からあるものそして次の人々は太陽を得たって言うのは、電気の事をさし示している。

昔からって部分は、雷の事で太陽を得たてのは灯りを。

つまり、電球とかライトとか闇を照らす為の道具の事を言っている。

次の光はって部分も電気のことを言っているんだろう。


じゃあ音の所は何なの?


テレビは何がなきゃ付かない。


!!

電気。


そう。そう言うこと。

電気は俺たちの身近にあるし、世界が動き出すってのは、電気が運ばれているからこそ俺達の世界は成り立っている。それを伝えたいって事じゃ無いかな?

全体的に哲学と詩が織り混ざった感じの文章だしな。


言われてみれば確かに。

じゃあ肝心の場所はどこなんだ?


この大学の中で電気に関係があって、かつ電気関連の機械が多くある俺たちに取っても馴染みのある場所と言えば?


ま、まさか。

変電所か?


その通り。

恐らくその変電所に鍵があると思われる。

ってなると敵の本拠地に乗り込むわけだが...。


すると何か閃いたように斎藤が口を開いた。

なあお前ら。俺にいい考えがあるんだが。


いくら何でも無茶苦茶だろそれ。

それに俺の負担が半端じゃ無いだろ。


まあまあちゃんと死なないようにサポートするから安心しろ。


そうだよ〜。そんちゃん〜。

僕がしっかり守ってあげるからさ〜。


まあ別に構わないが、絶対守ってくれよ。

俺一応怪我人なんだし。


一抹の不安はあるが、俺達は作戦を引っさげ変電所へと向かって行った。


は。

どうして僕はここにいるんだ?

確か。

ああそうか。

クソ。

あの大塚謙信の野郎邪魔しやがって。

もう少しで、秋山を殺せたってのによぉ〜。

にしても何処いきやがった。

ん?

大男の視線は、正門に釘付けになった。

貼ってあった筈の紙がない。

ま、まさか。あいつら外に逃げたのか?

急いで鍵が掛かっているか確認した。

足が痛むが構うものか。獲物は逃げたのか。今はそれだけが気になる。

ガンガンガン。

良かった。鍵は掛かったままだ。

どうやら紙だけ持って逃げて行ったようだ。

暗号は解かれないと思うが、万が一がある。

変電所の方に向かった方が良さそうだな。

大男は、足を引きずりながら変電所の方へ足早に向かって行った。


頑張れ秋山もうちょっとで変電所の前に着くぞ。


そうそう頑張って。

痛くなってきたら無理せず言ってね〜。


斎藤と大塚に鼓舞されながら俺は変電所へと向かっていた。

前方は希望を飲み込まんとする闇で覆われている。

でもここまで来たんだ。

今更諦めるなんて俺達にはない。

ライトで闇を打ち消し、一歩、また一歩と歩みを続ける。


ここが変電所か。

大塚の言う通り、確かにとても禍々しい雰囲気を醸し出している。

まさに一度入ったら二度とこの場所からは出さない。まさに地獄の入り口。そんな場所だ。


二人ともこの変電所の異様な雰囲気を感じ取ったらしい。表情が強張っている。


お前ら覚悟はいいか?

斎藤が呟く。


うん。行こう。

大塚が言う。


よし開けるぞ。

ガチャ。

うぉ。

中はそこまで広いわけでは無いのだろうが、暗いせいで奥行きが掴めない。

斎藤がライトで辺りを照らす。

周りには機械しか見当たらない。


本当に鍵あんのか?周り見たけど機械しかないぞー。


佑樹〜こっち照らして〜。

何ある〜。


分かった。

斎藤が大塚の言う方に光を当てると扉が姿を現した。

まじかまだ奥があるのか?


その先に鍵があるのかも知れない。

行ってみよう。


意を決して、俺達は扉を開ける。

使われていないのか、扉は酷く錆びついていた。

扉を開けると異様な匂いが漂ってきた。

嗅いだこともない嫌な匂いだ。

入ったのはいいが、この部屋は今までよりも暗くよく見えない。

ライトで辺りを照らしても殆ど見えない。

なぁ近くに電気のスイッチか何かないか?

これじゃ暗過ぎて周りに何があるか分かったもんじゃねぇ。


あー。ここにスイッチあるよ〜。

ダメ元で押してみるか〜。


ああ押してくれ。

ポチ。

カチ、カチカチカチ。

よかった。

電気がついた。

俺達は灯りがついた事もありとても安堵したと同時にやはり、電気をつけるべきでは無かったと酷く後悔した。


何だよ。コレ...。


ウップ。酷い。酷すぎるよ。


こ、コレはまさか。

部屋の中には数えきれない程の遺体が見つかった。その数100。いや200はゆうに超える勢いだ。

辺りにはハエがたかっており、原型のないもの。白骨化しているもの。バラバラに切り刻まれているもの。種類は多種多様であった。

ここにいる人達は全員あの大男の手に掛けられたのだろうか?

よく見ると全員顔の皮膚が剥ぎ取られている。

あまりに惨たらしい惨状に俺は吐き気を抑えきれなかった。

ウェ。

大塚が優しく俺の背中をさすってくれた。


大丈夫?そんちゃん。


ああ。さすってくれたお陰で多少楽になった。ありがとう。


あんまり無理しないでね。

にしてもほんと酷すぎるよ。皆んな何にもしてなっていうのに。僕許せない。

大塚の顔に怒りが滲み出ていた。


同感だ。こんな事許せる訳が無い。

俺達で終わらせるぞ。この悪夢を。


うん。


おーい皆んなこっちに来てくれ。


斎藤が何かを見つけたようだ。

行ってみよう。


ここ見てくれ。

指を刺した場所は何の変哲もないただの壁だった。


ただの壁じゃないか。


チッチッチ。よーく見とけよ。

そういうと斎藤は壁を押し始めた。

カチ。近くで音がする。

ガチャリ。


何と壁がスイッチになっており、その奥に通路が現れた。


な。言ったろ。


先は見えない。とても長い通路のようだ。


お前ら覚悟はいいか。


もちろん〜。


当たり前だ。


よし行くぞ。

俺達は、通路の中へと入った。

少し歩いていくと階段がある。螺旋階段だ。

気をつけろ。手すりとか無いようだし。

ライトの灯りを頼りに俺達は、螺旋階段を降りていく。

もし、今大男が来たらどうしよう。

不安が頭を通り過ぎていく。

今はとにかく階段を降りる事に集中しろ。

不安をかき消し、俺達は一番下まで降りた。

降りた先に扉が見えた。

もしかしたら大男が潜んでいるかも知れない。

用事深くな。


分かった。

開けるよ。

大塚がゆっくりと扉を開ける。

ギィーーーーーー。

扉が嫌な音を立てながら扉が開く。

用心しながら俺達は中に入る。

部屋の中は殺風景で、中央には小さな祭壇のようなものと共に白骨化した骨が鎮座している。

まるでお供物と言わんばかりに鍵が置いてある。

恐らくあれが、正門の鍵なんだろう。

よし作戦通りで行くぞ。


了解。


俺達は事前に打ち合わせしたように動く。

ふぅ。緊張する。持ってくれよ俺の足。

今は何とか立てるようにはなったんだ。もう少しだけ我慢してくれ。

自分に言い聞かせる。

なんと言っても秋山がこの作戦の要なのだから。俺にこの作戦が成功するか否か。全て俺にかかっている。

心臓がバクバク言っている。さっきからずっと無視していたが、やはり震えが止まらない。


深い息をつき俺は鍵を取る。

すると後ろの方から声が聞こえて来た。


やあやあ秋山君。

久しぶりだねぇ。

作戦開始の鐘が鳴った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ