PM18時00分
登場人物一覧
秋山村史
本作の主人公。柿塚大学の法学部に通う1年生。昼寝していたら帰宅すべき時間である17時を過ぎてしまっていた。駅を目指し、闇の中を歩き続ける。普通の人と比べて感覚がズレている。
斎藤佑樹
柿塚大学の法学部に通う1年生。常に明るくハイテンションな性格で友達が多い。見た目と言動からわかるようにチャラ男だが根はとても真面目で毎日予習復習を欠かさず行なっている為、常に睡眠時間が短く目にくまが出来ることが当たり前になっている。かなりの心配性。
大塚謙信
柿塚大学のスポーツ健康学科に通う1年生
斎藤佑樹の友達。佑樹と話していたらいつの前にか帰るべき時間である17時を過ぎており、学校に取り残されてしまった。スポーツ万能で義理人情に厚く受けた恩は死んでも返すのがモットーでラグビー部に所属している。
長井環奈
柿塚大学の図書館で司書をしている女性。元々は市の図書館の職員だったが、結婚を機に退職していたが、子供が小学3年生になった事をキッカケに柿塚大学の図書館の司書として仕事を再開した。その為、17時までに帰らなきゃいけないなんて事を知らずに図書館が閉まる18時20分まで仕事をするつもりでいた為、人知れず大学に取り残されてしまった。昔から心臓が弱い。
謎の大男
先天性のアルビノらしく肌の色素が薄い。体格がよく斧を自在に使いこなして、主人公達を襲いくる。
殺しを楽しんでいるようだ。
あと20分か〜。
図書館の運営時間は18時20分まで。
長井は退屈していた。
元々は市の図書館の職員であったが、結婚を機に市の図書館を退職していた。
最近は、子育ても順調に進み子供が小学3年生になった事をキッカケに柿塚大学の図書館の司書として仕事を再開していた。
元々図書館で働いていた事もあり、仕事自体に苦はなかったが、やはりこの無限に続くような暇な時間が自分にとっての宿敵なんだと今も昔も思っている。
まあ何はともあれ残り時間は20分とちょっと。
もう少しの辛抱だ。頑張れ私。
それにしても静かすぎる。勿論図書館だからというのもあるのだろうが、にしても人の気配が無さすぎる。そう言えば他の司書の人達が慌てて帰って行ったな。皆んなでパーティでもするのかしら?
まあ対して他の人達と仲がいい訳でもないからぶっちゃけどうでも良いけど。
はぁ。
あと18分か。もう誰もいないだろうし帰っちゃおうかな〜。
首を刎ねるぞ⭐︎
!?
な、何?そ、外から聞こえたけど…。
息を殺し、中の電気を消しながらそっと入り口の隙間から外の様子を確認した。
幸運か不運か。
外は真っ暗だが、図書館前に設置されている蛍光灯のお陰で姿の詳細が確認出来た。
長井の目の前には、学生の首に斧のような物を突きつけている肌の色素が薄い大男が立っていた。
なんだか意識が遠のいて来た。それに胸がとても苦しい。ダメだ意識を保てない。
あまりの異常な事態に長井は思わず倒れてしまった…。
気がつくと大男はいなくなっていた。どうやら気絶していたらしい。
先程の光景は何だったのだろうか?もしかして夢でも見ていたのではないのだろうか?
時刻は18時15分。
どうやら気を失っていたようだ。
心臓の弱い長井にとって、目の前で起きていた事は一部とはいえあまりにショックだった。昔なんてしゃっくりを止めて貰う為に驚かして貰ったが、10分以上も気を失っていたよ。
そう言われた時には我ながら笑ってしまったのを思い出した。
兎にも角にも今の出来事は何だったのだろうか?
もし現実だと言うならば、ドラマか何かの撮影なのか?
もしそうなら皆んながそそくさ帰って行った事にも納得がいく。
だがそんな話があるならもっと噂になっていてもおかしくはないし、なんなら休校にする筈だ。それにエキストラだって大勢いるだろうし...。
もしかして今のはやはり夢ではなく何かの事件だったのだろうか?
もし事件だと言うならば、あの学生はどうなった…。
嫌な考えばかりが頭をよぎる。
しかし、一つ違和感を覚えた。
いくら電気を消していたとはいえ図書館の閉館時間は18時20分。
もし、外部から侵入して来たのであれば、隅々まで確認するはずだ。私だけが気づかれないなんておかしな話だ。
慌てて受話器に手を掛ける。震える手を抑えながら110番のボタンを押す。
おかしい電話が繋がらない。
まさかあの大男が電話線を切ったのだろうか?
もしそうなら現実で起きた事なのだろうか?
言い知れぬ恐怖がまとわりついてくる。
あの学生はどうなった?
殺されてしまったのだろうか?
恐怖を押し殺し、そっと入り口のドアを開けた。
良かった大男は居ないらしい。
しかも血痕も死体も見当たらない。学生は何とか逃げ切れたのだろうか?
いやもしかしたらあの大男に連れ去られてしまったのではないか?
その時、長井は、職場の人達が異様に時間を気にしていたのを思い出した。
なぜそんなにも時間を気にしているのか。
気になりはしたが、大方退屈過ぎて、早く帰りたいとでも思っているのだろうと勝手に納得していた。
もし、時間を気にしていた事とあの大男が関係していると言うならば、妙に時間に拘っていた事にも納得がいった。
よくよく考えれば、図書館の閉館時間が18時20分まで。にも関わらず、遅くても16時過ぎには皆んな帰っていった。
おかしな話だ。
やはり、あの時ちゃんと聞いておけばよかった。
この際、仕事なんて関係ない。
とっとと荷物をまとめて家に帰ろう。どうせこの場所にいるのは私だけだ。
あの学生の事は気になるが、まずは自分の身を守る事を考えなければ。
とにかくまずは、帰る準備を始めよう。その後少しだけあの学生を探してみよう。まだ生きていればいいのだが…。
長井もまた家を目指し、帰り支度を始めた。




