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オカルト・アポカリプス~人類なき後の地球における心霊現象の発生について~  作者: 紫 和春


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第25話 なんか包囲されました

 三人は九王のマッピングによって来た道を辿り、ようやくトラックの元へと戻ってきた。


「やっと戻ってきた……」


 一番疲れを見せているのは小堀であった。


「大変でしたねぇ」

「主にお前のせいだよ」

「そうだね、みこねのせいだね」

「私が悪いみたいじゃないですかぁ」

「実際悪いんだよ」


 小堀とウッマが、九王に文句をつける。しかしそんな話をしていても、九王たちは仲良くトラックに乗り込んで発進させていた。


「それで、ここからどう行けばいいんだ?」

「とりあえず南下ですねー。南に行けば富士宮市に出られると思うので、そのまま東名高速道路か新東名高速道路に乗れば浜松まですすいのすいですね」

「さいですか」


 そんなことを言いながら、小堀はアクセルを踏む。


「にしても、地球人類が生き残っているとは思わなかったぜ。これはこれで大発見ではあるんだがな」

「そうですね」


 九王は何か思うことがあるようで、窓の外を見る。


「人間って、あんな感じでしたっけ?」

「……どういうこと?」

「いえ……、何か、私の知っている人間とは少し違うような気がして……」

「まぁ、戦争を経験した人間とそうでない人間は人格から変わるって聞くしなぁ。あの人たちも戦争を経験した、いわゆる戦争の被害者ってやつだろ」

「そうなんでしょうかね……」


 なんだか九王は悩んでいるようにも見えた。小堀はそれをわざと放置した。そうやって人は成長していくものだと思っているからだ。

 さて、九王たちは国道139号を南下していた。富士山周辺の道路はまだ凹凸が少ないために、東京よりかは走りやすい。アクセルも踏みやすいため、結構な速度が出る。そして緩やかな下り坂でありつつ、前後に車一つ存在しない。

 するとどうなるか。

 一般道のクセに時速100kmもの速度が出てしまうのだ。

 そしてそれは、次第にタイヤへダメージを蓄積させる行為でもある。


「小堀さん、ちょっと早くないですか?」

「そうか? この辺の道路は走りやすくてさ、ついつい速度出しすぎちまうのかもな」

「そうじゃなくても、僕の体のことも注意してよ」

「あぁ、ウッマはシートすらなかったんだっけな」


 そんな話をしているときだった。

 突然爆発音が響き渡る。それと同時にハンドルが大きく暴れ出す。


「どわわわっ!」

「きゃあ!」

「うわぁ」


 シートから飛び出しそうになるほどの振動。アスファルトに切りつけられながら、トラックは徐々に速度を落としていく。

 そして数百メートルほど滑走してトラックは停車した。


「いつつ……、おい、無事か?」

「私は何とか……」

「僕も大丈夫」


 そういって小堀はトラックから降りる。


「うわぁ、タイヤがバーストしてやがる。無茶な運転したからかなぁ……?」


 タイヤの様子を見て、小堀はこの後の行動をブツブツと考える。

 一方で九王とウッマは何かに気が付いたようだ。


「みこね、聞こえる?」

「えぇ、ばっちり」


 それと同時に、小堀も別の異変に気が付く。


「うん? バーストにしちゃあ破裂部分が変だ……。バーストっていうのはタイヤの祖臆面部分が全体的に破裂するものだが……」


 それにしては通常のパンクと同じに見えるだろう。しかも前後のタイヤがすべて同じく空気が抜けたようになっている。

 小堀は理解した。


「これは、意図的なパンクだ……!」


 その瞬間、九王たちのことを何者かが包囲する。


「な、なんだぁ!?」


 小堀は事態を把握しきれていないようで、若干腰が引けている。


「これは、小堀と同じタイプの人間だね」

「はい。クローンサイボーグの集団です」


 クローンサイボーグの人間たちは、九王たちに銃を向けている。


「Vocês……nn……」


 何か音声を調整しているようで、声色がときどき変わる。


「あーあー。貴様ら、これなら聞こえるか?」

「えぇ、よく聞こえます」


 サイボーグの翻訳が機能し、九王とのコミュニケーションが可能になった。

 すると小堀が、変な声を上げる。


「ひぇぇぇ!」

「どうしたんですか、小堀さん」

「こ、こいつら、第2銀河艦隊の連中じゃねぇか!?」


 第4艦隊(小堀の陣営)と仮想敵となっている陣営。第2銀河艦隊所属のサイボーグたちが、そこにはいた。

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