表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オカルト・アポカリプス~人類なき後の地球における心霊現象の発生について~  作者: 紫 和春


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/51

第24話 事情を聞きました

「あんたら、人間じゃないんだろ?」


 女性が九王に向かって言う。


「そうです。私は環境測定用のヒューマノイドで、こちらのウッマも馬型のストレージです」

「俺は脳みそだけ本物だ」

「そう。ここで立ち話をするのもなんだから、とりあえずうちに来な」


 そういって女性が手招きする。九王たちは顔を見合わせたが、女性の言う通りにした。

 女性を先頭に、九王たちは村の中を歩く。女性の首元には、赤い斑点が大きく現れていた。

 九王は村の中を見る。若者は少なく、代わりに高齢者が多い印象だ。


「この村はいつからあるんですか?」

「もうすぐで25年だ」

「ここにいる村人の人数は?」

「40人」

「この村が出来た経緯というのは?」

「その辺はうちに来てからだ」


 女性はそれ以上話すことはなかった。数分も歩けば小屋に到着する。しかしその小屋は、小屋と呼べないほどガタガタで小さかった。当然ながらウッマは中に入れない。

 女性は小屋の前に座り、自己紹介をする。


「アタシはリナ。この村では古参の一人だ」

「私は九王みこねです」

「僕はウッマ」

「俺は宇宙人の小堀宝治だ。それで、あんたらは地球人類の生き残りって認識問題ないか?」

「まぁ、そんな所だね」


 九王たちがリナと話していると、リナの小屋の周りに村人たちが集まってきた。


「それでしたら、聞きたいことがあります。私は地球人類が滅亡した後に起動しました。そして今日に至るまで、どのようにして人類が滅亡したのか分からないままです。教えてください、人類はどうやって滅亡したのですか?」

「俺も知りたい。頼む」


 九王と小堀が頭を下げる。リナが一度周りの村人に視線を移す。村人たちは軽く頷いた。


「……30年近く前の、あの戦争の最後の日だったね。世界各地で核兵器がほぼ同時に爆破した。そこまでは分かるね?」

「はい」

「その瞬間、私の感覚が引き延ばされた。まるで1秒が1年になったように、時間の感覚が狂ったんだ。そして……」

「そして?」

「叫び声が聞こえた。誰だかも分からない、少女にも少年にも、男性か女性かも分からないような声だった。そして次の瞬間には、人々の体がスゥーッと消えていったんだ」

「消えた?」

「そう、消えたんだ。幽霊のようにな」

「ひっ……」


 リナの言葉に、小堀は思わず耳を塞ごうとする。

 それを無視して、リナは話を続けた。


「戦争が終わったことを理解するのに、丸2日かかった。だって人間がほぼ全員消えたんだから。その後紆余曲折あって、生き残りと出会うことが出来た。そうして皆と一緒に生き残りの村を作った。こうして出来たのがこの村だ」


 その表情と体の傷を見れば、壮絶な人生を歩んできたことが分かるだろう。


「少し、聞かせてください。人々の体が消えたんですか?」

「あぁ、そうだね」

「みこね、何か気になるの?」

「えぇ。リナさんの話では、時間の感覚が非常に遅く感じて、その異常時空間で人々が消失したとのことですよね。その上、人々の叫び声も聞こえてきたらしいじゃないですか」

「それが何か問題?」

「なんだか、あまりにも心霊現象に似ているんですよ」

「それはお前だけしか思ってないだろ」


 小堀からツッコミを貰う。


「ですが、何かしらの関係性はあると思うんです。私の直感がそう言っています」

「嘘つけ! 九王君がこじつけたいだけだろ」

「嘘じゃないですー。直感は信じたほうがいいものでしょう?」

「機械に直感もクソもあるか」


 そんな言い合いをしていると、ウッマが間に割って入る。


「とにかく、こんな所にいつまでもお邪魔しててはいけないよ。早く戻ろう」

「あ、あぁそうだな。その方がいい」


 ウッマの提案に、小堀が同意する。


「むぅ、もうちょっといい話が聞けると思ったんですけど……」

「その馬の言う通りだよ。ここは生き残った人間が住む場所。あんたらがいてはいけないんだ」


 そういってリナは立ち上がり、九王に詰め寄る。


「今回は入村を許したけど、次同じようなことがあったら、その時は容赦なく攻撃するからね」


 そういって九王の肩を押す。その表情は「さっさと帰れ」というものだった。


「……分かりました。私たちは戻ります」


 そういって九王たちは、生き残りの村を去るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ