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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

届けたかったハッピーバースデー 

作者: 月夜の晩に

◆ハッピーバースデー



僕は三田らいむ。友達からは通称みたらし君と呼ばれてるよ。


そんなことよりも、のっけから大ピンチです。


というのも今日は高校受験の日で、今駅の改札前にいる訳なんだけれども……。


「パ……ッパスモがない!」


じゃあ現金で!


「ウグッ財布もない……!!」


くそっ母さんに電話して来てもらおう!


「何!?携帯も忘れている!?」


ヒェッと喉が鳴り、血圧がさ〜っと急降下。


しかも昨日緊張しすぎて朝起きるの遅くなって、そもそも予定より大分遅れてるのに!


「あっやっやばい、死ぬほどやばい!どうしよう!」


行きは母さんが車でこの便利な乗り換え駅まで送ってくれただけで、仕事あるからってさっき帰っちゃったし!モタモタしてるうちに更に電車が行ってしまって!


「なんか、何かないのか!なんか!」


リュックを床に下ろして半泣きで鞄を漁る。何か良いものが出てくるアテなんかないけども!ひ〜ん……!


「君どうしたの?さっきから大分慌ててるけど」

「!」


がさがさやっていたら、誰かに声をかけられて見上げた。


うわッすご格好良い!メガネして髪後ろにかきあげる様に流してて、超お顔が整っている。私服は渋カッコいい。大人っぽいな、大学生かな。


「あの、あっえっと、あの、受験でその、来たんですけど……色々忘れて来ちゃったみたいで駅入れなくて……」


「受験票は?」

「!?」


流石にそれはあった。


「ふうん。君そこ受けるんだ。って試験までもう随分時間ないじゃん。君こっち来て」


その人は僕をタクシー乗り場に連れてって、なんと一緒に乗ってくれた。


「明星山高校まで」

「えっあっエッその。すいません僕いまお金がなくて……!」

「良いよ。そこは俺が通ってる学校なんだよ。行く途中だったからついでに送るよ。時間ないんだろ」


半べそをかいていた僕に、その人は優しくしてくれた。


最後に払ってるタクシー代を見て、僕はさああっと再度青ざめた。


「あのっあのっお金、今度返すので連絡先を……!」

「学校で今後会うことがあればその時返してくれれば良いよ。という訳で受かると良いな。


じゃあね」


落ち着いた声で僕を優しく励ましてくれたその人。


僕のピンチを優しく助けてくれたその人に、人生で初めて恋をした瞬間だった。







「……かっこ良かったなあ……♡」


なあんて、過去の出来事を今日も思い出しているのである。


好きすぎる。学校入ったら、絶対ぜったい見つけてあの時のお礼言うんだ!


って超意気込んで、試験に無事に合格して入学にまで至った訳なんだけど……。


『いない!?』


学校に入った瞬間に全学年探したんだけどいなかったんだ。


もしかしてあの人はあの時高3だったのかな。入れ替わりで卒業……だったのかも……。


「はあああ〜……」




僕はうっかりさんでさ。あのお方の名前すら聞けていない。


あの時の記憶が日々薄れそうになるのを、今日も必死に掴んでいるのである。






「てい!」

「!?」


そんな恋に憂いている僕にげんこつを落とすやつがいた。


「みたらし。1人でうるさいよ」

「ううっいたあい」


高校に入って出来た友達。歩夢あゆむ。内部進学でこの学園に小さい時からずっと通っているらしい。前髪長めで大体目にかかってる。そんな訳で全貌がよく見えないけれどお顔はかっこいい。


「良いかげん諦めたら?」

「良いのっ」


歩夢は僕の恋事情を知っている。仲良くなって打ち明けたんだけど、あんまり興味なさげ。


「僕にとってアイドルなんだ!スーパースターなんだよ!またぜひ会いたいの!」


「名前も知らないのに?」

「ウグッ……!」

「唯一の手掛かりがみたらしの描いたイラストって……いやどんなゆるキャラだよ。これじゃメガネしてることしか分かんねえーよ!」


ハハハと失笑して歩夢は僕のことを笑う。くう〜!歩夢の買う焼きそばパンの賞味期限が一生全部切れてれば良いのに。


「まあ諦めろ」


歩夢はいつもそればっかり!






共学のうちの高校では、女子もいっぱいいる。歩夢はなんかオシャレな人たちと、SNSに動画や写真を投稿したりすることも。あんなに笑顔で楽しそうだなあ歩夢。


そんなきゃいきゃいな同級生が身の回りに沢山いるからこそ、記憶の中のあの人がより大人びて心に焼き付いていた。会いたいなあ……。


憧れがどんどん募っていった。







「バイトだぁ?あの駅で?」


歩夢は超びっくりしていた。


僕はあの人にまた会いたくて、出会ったあの駅にある和菓子屋さんでアルバイトを始めることにしたんだ。


「そっまたあの駅通るかもしれないしさっ」


「……」

「歩夢う!引かないでよっ!」

「あ、いやそんなに好きなんだ、って思っただけ。……いつからやんの?」


「明日!」

「すげえやる気」


行けたらいくわ〜と歩夢は去って行った。






それから始まった僕のバイト生活。


おみやげ商品・お団子5本セットをせっせと包みながら、忙しく駅構内を通り過ぎていく人たちを観察する。


あの人は……。


記憶が朧げになってきていることがちょっと悲しい。でもきっと、また会えたら分かると信じたい。




メガネのサラリーマン男性が通り過ぎていく。あんなメガネだったな。もうちょっとフレームはしっかりしてたけど。


あ、あの人の髪色、あの人に近い気がする。あの人の髪型は……。


なんて、和菓子売りそっちのけで行き交う人をじっと観察してしまって、パートのおばちゃんに『大丈夫緊張してるの!?』だなんて心配されてしまった。(ごめんなさい)




バイトが始まったばかりのそんな折。


「おっす!来たぜ〜」


歩夢が元気に登場した。


「みたらし団子2本、あんこ2本」

「まいど〜ってふたつ?」

「あとで一緒に食べよ!バイト終わったら連絡ちょうだい。俺あっちの駅ビルでぷらぷらしてる」


待ってっから〜!と去っていった歩夢。


あ、あの最後に背中向ける時の感じ、あの人に少し似てる気がする!あんな感じだった気がする!わっ嬉しい!歩夢にまたあとでお願いしよう!



こんな感じで、僕は見えない面影をずっと追ってはひとりときめいていた。







「歩夢〜!」

「おっすお疲れ〜!」


僕らは合流すると、駅近くの公園のベンチで腰を下ろした。疲れていたのでもりもり食べる。


「おいしい〜!」

「良かったね。どう?憧れの君には会えました〜?」

「いやー、それが全然。あっでも良いことが色々あって!」

「良いこと?」


道ゆく人のちょっとした仕草や持ち物が、あの人に似てる時があって嬉しいって話をしたら歩夢はふふっと笑った。


「お前片想い上手かよ。世が世ならお前、短歌でも書きそうだな」

「いいのっ!あ、あとさ!歩夢にお願いが!」


後ろ振り返る仕草が似てたからやってくれってお願いに、歩夢はちょっと難しそうな顔をした。


「え〜……やだ」

「やだ!?」

「目玉まん丸にしてんじゃねえーよ。みたらし団子かっつーの!」


てい!っと僕にげんこつを落とし、それから歩夢はもくもくとお団子を食べた。


あとお願いした件はやってくれなかった。






それからも僕は和菓子屋さんでのアルバイトの傍ら、あの人探しに勤しんだ。


バイトがない日もあの駅で、ひとり待つこともあった。だけどあの人は来ない。


「流石に諦めたら……?」

「……いっつもそればっかり」


僕がアテもなく待つ間は大体、歩夢がいつも隣にいた。






歩夢はダンスやったりギター弾いたり、青春を謳歌するように生きていた。僕を捕まえて自作の歌を聴かせたりした。歩夢はかっこよかった。


ふざけがちだけど、結構整っていると思う。ギターを弾こうと下を向くとき、スッとした鼻梁はあの人に似ている気がして、僕は嬉しかった。





日差しが随分熱くなり、日陰を慎重に選んで学校から帰る様になった頃。


一緒に帰る時に歩夢は自転車を押しながら聞いてきた。


「例の人のどこが好きなの?」

「前も言ったじゃん!大人っぽくてカッコイイところ」


「大人なんてその辺にいっぱいいるじゃん」

「大人だったら誰でも良い訳じゃないの!あの人だから良いの。きっと誰よりも落ち着いてて、しっかりしてて、深みがあって、素敵なひとなんだ!


優しくてヒーローで、仕方ないなって頭撫でてくれるタイプだと思うっ!」


「え〜?そんなのわかんなくね?」

「僕にはわかるの!い〜だ」


「頑固〜。同級生にも目を向けてみれば良いのに?」

「ううん、僕はあの人に憧れてるから。理想なんだ」

「……」





僕にあの人の話を聞くくせに、僕が話し出すと歩夢は『あ〜うるせえ!』って言って自転車に乗ってさっさと帰った。意味不明。





そんな僕らだけど相変わらず仲は良かった。


休みの日に歩夢と一緒に洋服を見に行ったりした。ポップな色合いがミックスした、男にしてはわりとかわいい寄りの趣味の歩夢。カジュアルなスタイルが好きみたいだ。


「それかわいい!」と僕が言えば「だろお〜?」と歩夢は笑った。


試着しながら歩夢は言う。


「歩夢くんなかなか良い男だと思わない?」

「それ自分で言う?」

「言うー」


鏡の前で僕らはアハハと笑った。





歩夢とはバカみたいな話して、くだらない話でもりあがって、いつも一緒だった。


大好きだった。1番気の合う友達だと思っていた。





だから心底驚いた。


「好きだよ、らいむ」


ってある日教室で2人の時に告白された時は。


「……ごめんなさい」

「……!」


応えられなかった。


「……どうしても?」

「うん……」

「……そっか……」

「……」


「どうしても?」


ギュッて突然抱きしめられて、すごく動揺したんだけど。


「……あの人に抱きしめられたらこんな感じかな、なんて考えるなよな。らいむ」


歩夢は泣きそうな顔ですぐに僕を離した。


「良いよ、知ってた、俺じゃダメなこと。

……あーあ、俺が1番仲良かったのにな!」






それから歩夢は僕とあまり話をしてくれなくなった。無視されたり避けられはしないけど、僕じゃない人達とつるむ時間が格段に増えた。


皆の中心で話に花を咲かせる歩夢。ふざけたり、誰かをからかったりして、でも根はいいやつだから歩夢の周りには明るい笑顔が絶えなかった。





僕は?これからどうしたら良い?


歩夢に僕から近づいてはだめなのは分かっていた。


寂しかったけど、僕は歩夢の変化を受け入れた。






相変わらず和菓子屋さんのバイトは続けた。


僕は意地になっているんだろうか?分からなかったけれど。パートのおばちゃん達とも大分打ち解けて、楽しく雑談しながら仕事をした。


あの人を待った。来ない、もちろん。


歩夢も待った。


だけどもちろん、歩夢はおっすー!とはもう現れてはくれなかった。







「……」


ある日の夜。鳴らない携帯を前に僕はくすぶっていた。


歩夢と喋れないことが普通に寂しかった。我ながら最低だ。歩夢の気持ちを利用しているのかな。


「……歩夢、寂しいよ……」


随分長いこと、歩夢は隣にいない。





歩夢は僕以外によくつるむ友達を早速作った。あの子らが歩夢の新しい親友になるのかな。イケイケな男の子、美少女。名前は知らないんだけど。


通り過ぎる時だけ、歩夢が『おっす!じゃあな』と軽く手を振ってくれていた。






夜、ベッドで寝ながら思い出す。


受験のあの日、僕のことを格好良くスマートに救ってくれた大人なあの人のこと。あの人の横顔、恋に落ちた時のあの猛烈なドキドキ。


それに歩夢。一緒にいて楽しくて、隣でいつも笑ってくれて、いなくなってこんなに寂しい、歩夢のこと。あの元気な歩夢に僕はいつも励まされていたんだと気付かされた。


夏生まれの歩夢。そのお誕生日がもうすぐなのだけど、祝えそうもない。







そんなある日。恋の神様は突然僕にチャンスを振った。


バイト先にあの人が偶然現れたんだ!服装の感じも髪型もメガネも、全部同じだ間違いない!


「……っあ……!」


見た瞬間、体温が上がるのを感じた。

ドキドキしすぎて声が出ない。


「あ!キミ……久しぶりだね。俺のこと覚えてる?」






その人は隼斗さんというらしかった。


離れた大学に通っていて、現在大学生で一人暮らし。今日はたまたまこの駅を利用しただけらしかった。


「あの子どうなったのかなって気になってたよ。受かったんだ良かった」


にこにこしてくれて流石だと思った。


万が一会えた時のために用意していた言葉は全てどこかへ行ってしまった。


なんて言えば良いのか分からないまま、購入された和菓子を包む。渡す。


行ってしまう、もう会えないかも、でもなんて言えば?


「また遊びに来るよ、じゃあね」





社交辞令と思われたその言葉は本当になり、隼斗さんは翌週も現れた。


去り際の「また来るよ」はじきに「次はいつ会えるかな?」に変わり、「今度2人で会わない?」という誘い文句へと変わった。





隼斗さんは僕と違ってやっぱり大人で、憧れで、素敵な人だった。


「君のことが好きだよ、付き合ってくれないか」


だから2度目のデートでこんな風に言われた時、僕はまるで時間が止まった様に感じた。


2人でひとけのない日陰のベンチに座って話していた時だった。『今日は歩夢の誕生日だな』とぼんやり考え事をしていた時だった。



ずっとこんな風になれたらって思っていたのだけど。


「……ごめんなさい……」

「……らいむ君……」


隼斗さんは心底残念そうな顔をした。


「あ、いや、良いんだごめん突然驚かせて。そっか……ダメなら良いんだ、ありがとう。もしかして他に好きな人でも、いたのかな」


僕は頷いた。


「……そっか……どんな人?嫉妬なんかしないから、良かったら教えてよ。答え合わせがしたいだけだよ」


「……高校の同級生で……」


「!」


隼斗さんは身を固くした。


「……そっか、出遅れちゃったなぁ……」


隼斗さんはがしがしと頭をかいた。


「モタモタしてたら駄目だったね、いや、そっか。それなら……俺たちもう会わない方が良いね」


「……」


隼斗さんを見上げてその瞳をじっと見つめて、僕はなんて言えば良いのかわからず俯いた。


あなたのことは好きだったし、今も心の半分では好きなのだけど。


なんでだろう、上手くいかないなぁ。


「そんな顔しないでよ。まあ、そっか、身近な子の方が良いよね。どんな子?俺とは全然違うの?」


寂しげな横顔だ。メガネをぐっと押し上げている。


歩夢もこんな顔をする時があった。


ふと2人の姿が重なる。寂しくてたまらない。一体なんなんだろう、この気持ちは。


「いや、良いや。聞いたら苦しくなりそう。ごめんね、もう俺たち会わない方が良いよね、さよなら……」


ベンチから立ち上がった隼斗さんの背に向けて言った。


「歩夢っていう元親友で!ちょっとこじれてしまって、もうあんまり話せそうもないんですけど……」


隼斗さんは驚いた様に振り返った。



僕は手をギュッと握る。なんでこんなことを話しているんだろう。分からないけれど、言葉を止めることができなかった。


「歩夢に好きって今更言ったら、遅いでしょうか……」


「……!」


困るよね、迷惑だよねこんなこと言われたら。


いやいや、何してるんだ僕は。


「ごめんなさい、変なこと言って、さようなら!」


立ち上がって駆け出そうとした僕の背中を隼斗さんが抱きしめた。


「は、隼斗さん……」

「違うよ、まだ気づかないの?俺だよらいむ」


!!!この声……。


「……え、あ……あ……歩夢?」

「振り向くな!こんなダサい顔を見るな。


このまま聞いてくれ。


俺さ、長く入院してたから皆より実は二つ歳上なんだよ。


お前と初めて会ったあの日、久々に学校に行くところだった。手続きの兼ね合いで色々。職員室に行くし、ちゃんとした服じゃないとダメかなとか色々考えてた。それにあの日メガネしてたのはたまたまだよ。


らいむは大人な隼斗が好きだけど、俺はお前が憧れる様な大人じゃないんだ。学校に通えなかった分、中身はまだ子供だ。


あの時らいむを気に入って、ついカッコつけすぎてしまっただけで……。


確かに髪型とメガネするしないで別人に見えたりはするけど、ここまで気づかれないとは思わなかった。

でも正体を明かしたらなんだ歩夢だったのかってガッカリされてしまいそうで怖くて今まで言えなかった」


「歩夢……」


「等身大の歩夢として好きになって欲しかった。でもらいむは振り向かなかった。


だから俺は苦肉の策で隼斗として付き合おうと思った。今日は俺の誕生日で、最高のプレゼントになるはずだと思っていた。


嘘の俺でもらいむの近くにいられたらそれで良いと思ってた。なのに……」


「だ、だって……」


「2回も俺を振るな。隼斗でもダメだと知って俺は、俺は目の前が真っ暗になったんだぞ!?


知らないうちに、知らない人に恋に落ちていたら、次はもう本当に終わりだって……生きた心地がしなかった。誰だろう?あいつか?それともあいつか?って。らいむは一途すぎる。


頭ん中グルグルして、気まずくても側を離れるんじゃなかったって……もっと早く告白してたらって……おい、らいむ!?」


僕は倒れた。


「ら、らいむ〜っ!」





真夏に外でやいやい長時間やっておまけにギュッとかしたらそりゃちょっと具合悪くもなる。


あと脳内がプチパニックだったのもある。



暗転する視界の中で僕は思った。


歩夢が隼斗で、隼斗が歩夢?


えっ僕はずっと恋心をぶちまけていた?本人に?


それって相当恥ずかしいやつじゃない?







「うっ……」


目覚めた時、僕は駅の救護室のベッドにいた。


隼斗……じゃない、歩夢が手を握ってくれた。


すごく不安そうに僕を見つめている。


「……歩夢」


「大丈夫か?一応熱中症ではないって救護室の先生が言ってたけど」


「あ、うん。もう大丈夫……よっと」


「らいむ無理するなよっ」


ワタワタと歩夢が言う。


「もうっ無理するなって歩夢のことでしょ!?」  「う……っ」


ギュッと抱きついた。


「歩夢、好きだよ。ずっとそばにいてね」


顔を真っ赤にした歩夢はかわいかった。


「あっそうだ。お誕生日おめでとう歩夢」


隼斗さんの面影を残す歩夢。ついキスしてしまったら、さらに真っ赤になった。


「トマトみたい」

「うるせぇっ!」


仕返しに歩夢が救護室のベッドで何度もキスし返してきたのは内緒の話。


僕らの本当の夏がこれから始まる。







end

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