魔法はイメージ【魔法】
「魔法はイメージだ」
ふむふむ。
「火が出るイメージをして魔法を発動すれば火が出る」
はい先生
「何かね弟子よ」
石礫を飛ばす魔法は石が出ますよね。
イメージすれば石を岩に変える事もできるんですか?
「魔力の消費を無視すれば可能だ」
水もそうですけど石って物質ですよね。
鉄みたいな他の物質も出せるんですか?
「それも魔力とイメージ次第で可能だ」
ということは、魔法で剣を出す人もいるんですか?
「可能だ。しかし、魔法で出した剣は本人以外が持つと短時間で消えてしまうため十分な魔力に剣術の技能を持ち合わせる必要があるため使用者は少ない。さらに剣のような物の形を出すには詳細なイメージを持つ必要がある」
詳細なイメージってどれぐらい?
「そうだな、数年間は毎日身に着けて使用し、大きさだけでなく手触りや重さの感覚が染み付くぐらいは必要だろう」
なるほど。持っているのが当然、むしろ持っていないと落ち着かないぐらいの愛着が必要なのね。そんなものあるかね。
あるわ。
この世界に転移してくる前の生活を思い出す。
毎日身に着け、毎日使用し、持ってないと落ち着かないほどの愛着。
それを強くイメージしながら魔法を発動させると……
おおっ、結構魔力が減った。
「弟子よ。それは何かね?」
手の中にあるのは手のひらサイズの黒くて小さい板。
そう、スマホだ。
先生にどう説明したものか。
ギルドカードみたいなものとでも言えばいいのかね。
とりあえず出したスマホのスイッチを入れるが、何も動かない。
まぁ当然と言えば当然か。
いや待てよ?
魔法はイメージだ。
スマホの動作もしっかりイメージすればスマホとして使えるようになるのでは?
出したスマホを一度消して、再度イメージする。
先ほどまでのスマホの本体に加えて、スイッチを押すと画面が点灯するイメージだ。
いでよ! 我が愛機iP〇neSE|(初代)!
再び手元に現れるスマホ。
電源スイッチを押すと馴染み深いリンゴのマークが表示された。
すげぇ。スマホ動いた。
画面が点灯しリンゴのマークは表示されているがそのまま。
実際のスマホだったらリンゴループかと思って顔が青くなる場面だ。
つまり、魔法でスマホをスマホとして動かすためにはホーム画面からアプリやカメラから全部イメージしなきゃならないって事か。
強力な魔法になるほど発動に時間がかかる理由を初めて理解した気がするわ。
何度もスマホを出したり消したりポチポチしたりを繰り返す。
「弟子よ、一体何をやっているのかね?」
ちょっと先生黙ってて! 今集中してるから!
4インチRetinaディスプレイ液晶ブラックシルバーアルミ合金ボディiOS搭載CPU1.8GHzデュアルコアメモリ2GBストレージ128GB1200万画素カメラ搭載G〇ogleマップアプリカメラアプリ写真アプリミュージックアプリメモアプリインストール、偉大なるアッ〇ルCEOスティーブ・ジョ〇スが手がけた偉大なる名機を今ここに!
いでよ! 我が愛機iP〇neSE|(初代)!
うわ! 魔力ごっそりもってかれた!
そして俺の手には何度も魔法で作ったスマホと同じものがある。
しかし中身は別物のはずだ。
電源スイッチを入れて動作を確認する。
おお。まんまスマホだ。
「それは一体……」
目を丸くしてる先生を捕まえて肩を組んでフロントカメラを向ける。
はい先生笑ってー
シャッター音とともにスマホの画面に俺と先生の自撮り写真が残る。
まぁ、俺の故郷の魔道具のようなものですよ。
と説明してもわからんわな。
なんにせよすごいですよ先生。
やっぱり魔法はイメージですね。
スペックはウィキペディアから拝借しました。