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あ、あれ~!?


 な、なんで私、こんなふうにスイッチ入っちゃったんでしょう……?


 そうです、礼人君に最高の笑顔で可愛いなんて言われたからです!


 「……ったく、何うなずいてんのよ。てかさ、あんたも発情してない?」

 「……ふえ……?」

 

 発情……?わ、私が……ですか?そんなのしてません!……と、言いきれません。……どうしてでしょう……?

 

 「………………………だ~めだこりゃ」


 遠くから、ため息とクレアちゃんの声が聞こえてきました。


 「ごめんね、兵部」

 「ん~。なに?」

 「あんたは悪くない。……うん。悪いのは、私」

 「何が?ああ、わかってくれたの?」

 「うん。……だから」

 「だから、こっから出て行ってくれるのか!よかったよかったふゅ!?」



 フォン……ズアッ!



 ドガシャーン!


 

 「ふぇ?」


 ふっと明るくなったなあ、と思ったら、礼人君がどこかに消えていました。で、礼人君がいなくなったから、思考も視界もある程度は開けました。なんかパチリ、っていう私が起動する音まで聞こえた気がします。……今までスリープモードだったのかな?


 「バカなこと考えてないで!早く来る!」

 「え、でも、礼人君は」

 「あんなんで死ぬわけないでしょ!とっとと来い!」

 「え、クレアちゃん?」

 「いいから!大丈夫、私はあんたの邪魔をする気はないから!」

 「で、でも」

 「いいから!」


 そんな風に、私はクレアちゃんに引っ張られて教室まで戻りました。……教室のみんなに何があったかなんて説明できるはずもなく、クレアちゃんがついてくれる当たり障りのない嘘を、私は昼休みが終わるまで、神妙な面持ちで聞いていました。

 


 それから、午後の授業を私は寝て過ごし、放課後になってようやく、クレアちゃんにたたき起こされて目が覚めたのでした。

 


 ちなみに。礼人君は今日一日放課後になっても教室に帰ってこなかったようです。。……え?





 「ど、どどどど、どこに行ったの!?」

 「落ちついて!死んじゃいないわ。とにかく、いろいろと話あるから、私の家に来て」

 「え?え、え、えええ?」


 なんで?礼人君がどっかいっちゃって、放課後まで帰ってこなくて、それで、どうしてクレアちゃんのおうち?


 「とにかく、きて」

 「な、納得のいく説明を」

 「するから、来て」

 「で、でも」

 「……ここでしていいの?」


 はっとなります。

 ここは教室。みんなはもう帰り始めていると言ってもまだまばらです。もしかしたら襲われかけてどうのこうの、とかいう話を聞かれちゃうかもしれません。もしその人が正義感の強い人だったら、先生に言っちゃうかもしれません。そんなことになったら……!


 「もし、先生に今日のことがばれたら、あいつはもちろん、あなたも停学よ?」

 「私もですか!?」

 「当たり前よ。完全なレイプというわけじゃないんだから、あなたにも責任はあるとか言うに決まってるわ」


 と、年頃の女の子がレイプとか言わないでください!ただでさえ、お母さんの職業柄そう言う単語をよく聞いて、その度に嫌な気分になるんです、こんなところまで聞きたくないです!


 「……あら?少し言葉を慎んだ方がよさそうね。……あいつは完全に犯」

 「それもダメです!」

 

 何考えてんですか!


 「……とまあ、こんな風に人目をはばかるような会話を私たちはしようとしてるわけ。あなたの家だと可憐ちゃんいるし、お父さんもいるでしょ?その点、私の家は大丈夫。ね?」

 「……はい」


 クレアちゃんの家はお母さんと二人きりだそうです。シングルマザーというやつで、しかもクレアちゃんとの仲もめちゃくちゃいいらしいです。いや、じっさいよかったです。何度もお泊りしてますがとっても仲がよくて、なんだか友達同士みたいでした。クレアちゃんのおうちなら、秘密のお話もできますし、いいかも、しれないです。


 「じゃ、行きましょうか?」

 「はい……」


 クレアちゃんのおうちに行くというのに、私の心は陰鬱に沈み込んだままでした。……礼人君、大丈夫かな……?


  

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