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デートへ、向かいます。

 

 「あの、お姉ちゃんさ、その、似合ってるよ?でも、さ。あの。や、やっぱりやめとこ?似合ってるし、かわいいよ?で、でも……」

 

 日曜日の朝。普段はえっらそうに何かにつけて突っかかってくる妹の可憐が妙に私に気を使っています。どうしてでしょうか?なんて、訊くまでもなくわかりきっています。


 「……でも……」

 「その彼氏さんがおかしいんだよ!」

 「しーっ!」

 「あっ……ごめん」


 声を荒げた可憐を、私は人差し指を立てて注意します。お母さんたちには今日のデートは秘密です。昨日頑張って切り出そうとしたんですけど、結局言いだせませんでした。……だって、殺すとかなんとか、言い合ってほしくないですし。

 

 「でも、本当に本気?本当に正気?大丈夫?あの、精神科医なら、私の友達が医長さんのところがあるから、その、内密に……」

 「変な気回さないでよ!私は大丈夫よ」

 「その格好で言われても説得力ないよ……」


 げんなりと可憐は言います。……どうしてでしょう?って、訊かなくてもわかりますけどね。


 「大丈夫よ、この部屋には合ってるんだし」

 「この部屋に合っててもこの社会には合ってないよ!だめだよお姉ちゃん、やっぱりやめといたほうが……」

 「いいえ、私は行きます。なにより礼人君のために!」

 

 私は自信を持って答えます。


 「……やっぱり精神科医がいるわ。お姉ちゃん病気だ。恋の病だ。盲目すぎるよ、お姉ちゃん……」

 「大丈夫!………………………よね?」

 「疑問になるくらいなら着ないでよ!」


 でも……。


 「そのゴスロリ服、なんとかならないの?本当にホントに、なんともならないの?」

 「……多分……」

 「お姉ちゃん、かわいいけどすごく、ものすっごくイタイよ?それでも、行くの?」

 「……うん……」


 だって……。最初のデートだし……それに、やっぱり、こういうかわゆい服って、着てみたいじゃない?その、無理やりっていう形でもいいから。


 「……お姉ちゃんって、…………いや、なんでもない」

 「どうしたの?」

 「なんでもないの?彼氏さんと仲良くね、って」

 「うん!」


 私は微笑んで、部屋を出ました。


 そろりそろりと、ぬき足差し足。

 時刻はちょうど午前五時。両親は絶対に寝ている時間です。

 約束は午前六時。妙に早いですが、気にしません。


 扉の前まで来ました。……あと、少し……!


 「……おはよう、メグ。こんな朝早くからどこへ行くのかしら?」

 

 びくっ!


 私はおそるおそる、ゆっくりと振り返りました。


 「お、おかあ、さん……」


 そこにはこめかみに青筋を立てた、パジャマ姿のお母さんが。


 「は、早いね?」

 「ええ。昨日からあなたは挙動が変だったからね。それとなく警戒してたらあっさり引っかかって。……で、そんな服着て、どこいくの?」

 「……彼と、デート」


 もうウソはつけません。というか今度ウソついたら私が殺されそうです。

 私の答えがよほど驚きだったのか、怒りの表情をすっかり消して、ポカンとしました。


 「……は?」

 「いや、だから、デート」

 「誰と?」

 「礼人君」

 「誰?」

 「私の彼」

 「……へえ」


 すっ、とそれだけを言ってお母さんは寝室に戻りました。……意外です。もしかしたらこれってお許しが出たってことでいいのでしょうか……?

 とか、思ってたら。


 「お母さん!?」

 「古風だけど、やっぱりこういうのはね」

 「な、なんで一瞬で制服に着替えてるの!?」

 

 お母さんは仕事着……つまり、警察官の制服に着替えて私の前に立ったのです!


 「なんでって、あなたを尾行して、もしその男があなたに不埒な行いをしたら婦女暴行でしょっ引くためよ」

 「……大丈夫です」

 

 その点で言ったら昨日の時点でもうアウトだと思うので、私は何もいいません。


 「行ってくるけど、ついてこないでよ!?」

 「……ふふふ……」


 ああ、もう絶対ついてくる気だ!……でも、そろそろ行かないと待ち合わせが……!


 「ああもう!行ってきます!」

 「行ってらっしゃい」


 意外にもそんな見送りの言葉を言ってもらえました。少し不安だけど、制服姿のお母さんに見送られ、私は待ち合わせの場所に向かっていくのでした。




 















 「……ったく、彼氏ができたんならそう言いなさいよね」

 「本当にね」

 「あらあなた、起きてたの」

 「さっき起きたよ」

 「彼氏、消さなくていいの?……昔みたいに」

 「何言ってるんだい、僕はそんなことした事ないよ?」

 「悪い虫は消したことあるわよね?」

 「……キミに近づくからだよ」

 「あらあら、嫉妬深いのね。私も、浮気は許さないタイプだし……。あの子は、どうなのかしら?」

 「どういうこと?」

 「あの子、純情そうに見えて内面激情だから。痴情のもつれで刃傷沙汰……あの子なら本気でありえるわよ?なんたって私たちの娘なんですから」

 「そうなったらどうする?」

 「……できることなら、娘の事情聴取はしたくないなあ……てか、させてもらえないだろうけど」

 「ふうん。……ところで、後をつけなくていいのかい?」

 「……いいのよ。不純異性交遊に走らないようにする、ちょっとした脅しってだけだから」

 「本当にシちゃったらどうするの?」

 「その時はその時よ。とりあえず相手の男……礼人君、だったかしら。彼には消えてもらって、まずはそれからね」

 「そうだね。……まあ、とにかく。せっかくの休日だし、今日は可憐を連れてどこか遊びに行こうか」

 「そうね。運転まかせちゃってもいい?」

 「かまわないよ。キミは疲れてるだろう?」

 「まあ、可憐の喜ぶ姿を見ればそんなものイッパツよ。……どこに行きましょ?」

 「うーんと、最近できたテーマパークは……」

 「……あの公園とかよさそうじゃないかしら。たしかあそこって……」

 「……が………………で………」

 「………………そうね、そこにしましょう……………」

 「…………じゃあ、準備を……………」

 「……………」

 「………」

 「……」

 「…」

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