87. やる事
ステラに心の内を全て吐き出して少し楽になった。でも、何も解決していない。元気は無いし、気分は沈みがちだった。
私は強くなろうとしていた。でも今は、強くあろうと思っていた。もうこれ以上、妹に、周りの皆にみっともない姿を見せたくない。そんな気持ちが湧き上がっていた。そう思う事で自然と少しずつ前を向けるようになったと思う。
「最近は鍛錬に身が入っていて良い調子だなアリス」
「…はい!」
ヤニックさんの訓練場でも叱られる事が減った。強くなったとは思わないが、前と同じように動けるようになってきた。
あれからステラと良く出かけるようになった。最近は各々の修行で別々の時間を過ごす事が多くなっていたが、今は昔みたいにいつも一緒に行動していた。
周りの事も頼るようになってきたと思う。今までは自分で何とかしなきゃと思っていたが、最近は違う。私の力なんてたかが知れている。そんな私は周りに頼る事を覚えた。最近は良くキャロリンお姉ちゃんに色々と相談をする事にしていた。私の今の状況はキャロリンお姉ちゃん曰く心の病気らしい。すぐには治らないと言われた。
「それで最近調子はどう?」
「前までは心の底から楽しめていなかったけど、今はちょっとずつこの日常が楽しいって思えるようになってきた」
「そう、それは良い兆候ね」
相談しても何も解決しない事もある。でも思いを吐き出し、誰かと共有すると心が少し楽になると知った。
私はまだまだ弱い。周りの大人達の様に強くはない。でも、だからと言って強くなる事を諦めている訳では無い。日々どうやったら強くなれるかを考えている。
思えば、私が最初に強くなろうと決心した時の事を最近は忘れかけていたと思う。あの頃の気持ちを思い出すと、何事にもやる気が出て来た。
(私は私の大切な人に守られるだけじゃなくて、皆の力になりたい)
最初の決意とは少し変わってしまったかもしれないが、今はそう本心から思うようになっていた。私は強くない。私だけでは強くなれない。肉体だけでは無く心も強くなりたいと思った。
(もう負けない)
もう何事にも負けたくない。そう自分で強く思うと周りが広く見える気がした。今まで小さな世界で生きていたと実感していた。
(パトリシアお姉ちゃん、私強くなるからね)
そんな事を考えていると久しぶりにお墓参りに行きたくなってきた。次の長期休みにブルスジル領に行こうと思った。
(私はまだまだ強くなる)




