表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/93

82. 登場

 謁見の間には複数の反応があった。私が途中まで一緒に来ていた面々ははっきりと把握できた。後他の気配はアジオンブリア王国側の人間だろう。

 中の会話は私には聞き取れなかった。しかし、ダニーさんは中の様子が分かるみたいだった。仄かに笑みを浮かべていた。


「まだ、入らないの?」

「今はまだ違うと思うな…いや、もうそろそろかな」


 私はダニーさんがタイミングを決めるまで待った。その間、人の位置だけは正確に把握していた。この状況なら交渉は決裂だろう。ステラ達を連れて逃げるのが今の一番良い選択肢だろう。私は突入した後の事を念入りにシミュレーションしていた。


(そう言えば…)


 謁見の間の前なのに、扉を守護する兵士は居なかった。この国は人口だけは多く、人手不足という事は無いだろう。


(ああ、そうか)


 あの二人の兵士が私達をここに連れて来るのと、扉の守護を任されていたのだと瞬時に理解した。だから今、ここには誰も居ない。


(皆、不思議に思わなかったのだろうか…)


「呼ばれたみたいだ、じゃあ行こうか」


 そんな事を考えていると、軽い言葉と共にダニーさんは扉を開けた。私は少し焦った。こんなに堂々と入るとは思っていなかったからだ。


「お姉ちゃん!」


 最初に聞こえてきたのはステラの私を呼ぶ声だった。


「お前、どうやって逃げた!」


 国王と思われる人が怒鳴って来た。かなり太った人間だった。怒鳴っただけで息切れしていた。その姿は見苦しかった。


(こんなのが国王なのか)


 タクステディア王国の国王も見た事は無いが、こんな感じだったら嫌だなと思った。


「君の部下は不誠実でね。素直に通してくれたよ」

「バカな!」


 国王はダニーさんの嘘に簡単に騙されている様だった。頭も弱いみたいだった。


「じゃあ、僕らは帰らせてもらうよ。もちろん邪魔するなら、抵抗するから」


 隊長さんと部下の人達が剣を抜いて警戒態勢に入った。そのまま、私達の元まで駆け寄って来た。


「お姉ちゃん大丈夫?」

「…空腹で力が出ない」


 そんな私にステラは肩を貸してくれた。相変わらず優しい妹だと思った。


「戦争が続いても良いのか?」

「それはこっちのセリフだよ」


 その言葉に国王は悔しそうな顔をした。私達はそれを無視して王城を後にした。私の馬は崖に落ちて死んでしまったので、ステラの馬に一緒に乗せてもらった。


(やっぱり来るべきじゃなかったな…)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ