81. 脱出
「それで、今はどんな状況なの?」
「ステラが頑張ってくれているから何とかなっているけど、もうそろそろ時間稼ぎも限界かな」
「何の時間稼ぎ?」
「僕がアリスを探す時間さ」
私を探す為に時間稼ぎをしなければならない状況らしい。とにかく急がなくてはいけないみたいだった。私達がマークを拘束して担いで運ぼうとした時、周りが騒がしくなった。誰かが来たみたいだった。私達には隠れる場所が無く、すぐに見つかってしまった。二人組が私達の行き先を塞ぐように現れた。
「お前らどうやって⁉」
話し合いは通じ無さそうだ。力で何とかするしか無さそうだった。と思って行動に出ようとしたが、やはり体がまだ上手く動かなかった。それを知ってか、ダニーさんがすぐに動いてそいつらを拘束した。拘束した奴らは見るからに兵士の様だった。
ダニーさんがその兵士を一人落とし、もう一人を落とそうとしたところで、私は待ったをかけた。
「待って、今までここには誰も来た事が無かった。何で今更ここにやって来たの?」
兵士は顔を背けて私の質問に答えようとしなかった。するとダニーさんが兵士の首を絞め始めた。
「分かった!言うから、止めてくれ…」
兵士はあっさりと白状し始めた。
今居るこの場所は王城の地下だったらしい。そして今、ステラ達が王に謁見しようとしているところだという。交渉材料として、私を連れ出してステラ達の前に連れて行こうとしていたらしい。
「俺が受けている指示はそれだけだ」
「忠誠心が余り無いみたいだね」
「こんな国、逃げ出せるならとっくに逃げ出しているよ。タクステディア王国と戦争していなければ、お前達の国に逃げたいくらいだ」
兵士は辛そうな顔でそう言った。
「じゃあ、僕達はその謁見の場を掻き乱してやろう」
「そうだね。私もちょっとイライラしてるし、良い憂さ晴らしになりそう」
私達は謁見の間を目指す事にした。気配を消して城の中を探索する。
(あれ、城の中では普通に魔法が使えそうだ…それもそうか)
城の中ではあの牢屋と違って普通に魔法が使えそうだった。魔力操作をしても何か不思議な力に邪魔される事も無かった。普通に魔力を操り、体内の魔力量を抑える事が出来た。
(それにしても…)
ダニーさんはマークを抱えながら軽快に動いていた。気配を消しているので、殆ど魔力を使っていないはずなのに苦しそうな素振りが一切見られなかった。本当に何でも出来るなと改めて感心した。
私達は探索している途中でステラの魔力を発見する事が出来た。それで謁見の間が何処なのかすぐに分かった。
(さて、ここからどうしよう)




