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79. 救出

 苦痛だった。痛かった。辛かった。何で私がこんな目に逢わないといけないのかと思った。帰りたかった。平和な日常に戻りたかった。それと同時に少しずつ殺意が湧いてきた。マークに対する殺意が。

 マークから毎日鞭で叩かれたり、拳で殴られたりしていた。私はここから自力では逃げ出せない事を悟っていた。この状況で私に出来る事は何も無い。魔法が使えず、魔力操作を上手く扱えない状況で私に出来る事は何も無い。

 でも悲観はしていない。ステラとダニーさんが居れば私の事を助けてくれる。これは確信していた。二人の凄さは私も分かっている。こんな状況でも私を助けてくれるだろう。


(でも、ちょっと遅いよ)


 私の心は折れかけていた。初めての一方的な暴力に耐えられなくなっていた。ただ、惨めな姿を此奴には見せたくない、そんなプライドが私の心を保っていた。


「まだ耐え続けるとは、流石だ。強靭な心を持っている。でも、これはどうかな」


 マークは私の足の拘束を解いてきた。


「このまま犯してやるよ」


 マークはぎらついた眼でその言葉を発してきた。そのまま私の下着を脱がそうと手を伸ばしてきた。私は反射的に足を上げてマークの顔を蹴った。マークが軽く吹っ飛んだ。空腹で余り力が入らなかったが、マークに一矢報いる事は出来た。私は思わず笑みを浮かべた。


「…っち!生意気な奴だ」


 マークは再び鞭を持ち直した。私が抵抗出来ない程、また痛めつけようとしているのだろう。


(あれ、私は今、何と戦っているのだろう)


 そんな疑問が浮かび上がってくる。


(助けてよ、ステラ…)


 心が折れそうな気がした。


「…助けてよ…パパ…」


 マークが私に向かって鞭を振り上げた。でもそれが振り下ろされる事は無かった。


「パパじゃなくてごめんね」

「…遅いよ」


 そこにはダニーさんが居た。ダニーさんがマークの事を一撃で吹き飛ばしていた。マークは吹き飛ばされ、その場に蹲っていた。


「悪いね。…それよりこれは酷いな。ルークが見たら彼は酷い死に方をしていただろうね」


 ダニーさんはそう言いながら私の拘束を解いてくれた。私にそのまま回復魔法を掛けてくれた。私の傷は治ったが、空腹で立ち上がれなかった。ダニーさんは懐から水を取り出して私に飲ませてくれた。カラカラの喉に冷たい水が染みわたった。そして水を掛けたパンを私に差し出してきた。私はそれを勢いよく食べた。喉に詰まらせると再び水を渡してくれた。


(生き返った…)

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