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77. 拘束

 目が覚めるとそこは薄暗い部屋だった。見覚えの無い部屋だった。私は手足を縛られて、椅子に固定されていた。身動きが取れない程、硬く拘束されていた。周囲には一人しか人が居なかった。


「やあ、目覚めたかい?流石だね。予想よりも早い目覚めだ」


 そこに居たのはマークだった。意識を失う前の記憶とマークの行動を思い出して全てを理解した。この状況はマークが作り出した物だ。


「アジオンブリア王国の手下だったんだね」

「いや、違うよ。利害が一致しただけで、僕はアジオンブリア王国の人間じゃないよ」

「利害?」


 マークは微笑むだけで私の質問には答えなかった。私はマークを睨んだまま彼の答えを待った。静寂が周囲を覆った。


「君の父親が居た頃はあまり行動が出来なかったからね。今は驚く程動きやすかったよ」

「パパ?」

「ああ、彼は流石だ。目立たない英雄だ。誰からも褒められない、認められない。でも、裏の世界では彼は凄く有名だったんだよ」


 パパの知らない一面を話してくれた。でも、それも全て私達や多くの人々を守る為の行動だと瞬時に理解が出来た。


「世の中で悪事と呼ばれる事をしようとすると彼はすぐに嗅ぎつけてやって来る。本当に厄介だよ。居なくなってくれて嬉しかったよ」


 その言葉を聞いて、怒りが込み上げてきた。パパが居なくなって喜ぶ人が居なかったとは思っていない。でも、その人物が目の前に居ると思うと怒りが込み上げてくる。


「怒っても無駄だよ。君には何も出来ない。ここでは魔法も使えないよ」


 言われて気が付く。無詠唱で火の矢を出そうとしても上手くいかなかった。魔力が上手に操れなかった。


(上に吸い取られている?)


「気が付いたか。流石だね。この部屋には魔力を吸い取る装置が設置されている。ここでは魔法は使えないよ」

「そうだね。私には何も出来ない」


 その言葉にマークは嬉しそうに微笑んだ。


「そうだね。もっと怒る事を言ってあげようか?」


 彼は一呼吸おいてから続けた。


「ドミニク・ホーキンス」


 久しぶりに聞く名前だった。一年時の魔物討伐で一緒のパーティーを組んだ人の一人だ。魔物討伐時に何者かに襲われて死んだ。


「…まさか」

「そうだよ。僕が殺した。あれは偉そうにしてるだけの無能だったからね。どうだい?怒りが込み上げてくるかい?」

「…別に」


 ドミニクはムカつく奴だった。だから死んでも良かったとは思わなかったが、パパが居なくなって良かったと言われたのに比べると別にどうでも良かった。


(とにかくここから逃げ出さないと)

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