76. 謁見
ステラ達は国王の居る謁見のままでそのまま案内された。
「膝を付いて暫く待っていろ」
高圧的な態度でクリストフがステラ達に指示を出してきた。私達は指示通りに膝を付いた。デコイのダニーさんも周りと同様に膝を付いた。最近分かってきたが、このデコイは周囲の誰かの行動を真似して動いている。その為、上手い事周りを誤魔化せていた。
それ程時間を置かずに国王はやって来た。大きなお腹をした傲慢そうな男だった。王都内で見た国民と違って食事に困っていなさそうな見た目をしていた。とても偉そうに玉座まで歩いていた。
(国王だから偉そうなのは当たり前か)
ゆっくりと玉座に座った後、国王は息を整えていた。数歩歩いただけで息切れしたみたいだった。運動を殆どしていない人間だという事が想像出来た。国民の為には一切働いていないんだという偏見が湧いてきた。ただ、この偏見は間違っていないだろうという確信があった。
「面を上げよ」
クリストフがステラ達に偉そうに指示してきた。戦況的には私達が勝っている。それに今回はアジオンブリア王国側が降伏しても良いと言って私達を呼びつけたのに、何故こんなに偉そうなのかという疑問が思い浮かんでくる。確かに今、お姉ちゃんやバーデンを人質に取られているが、こちらが優位な状況には変わりがないはずだ。
この人達の傲慢さの理由が段々と分かって来た気がした。
「ふんっ!将来性はありそうだが、今はな…」
下卑た笑みでステラの全身を見てきた。不快な視線だった。ステラは拳を強く握り締めてその視線に耐えた。
「姉も似たような見た目なのだろう。なら、優秀な魔法師のこっちで良い。後の事はクリストフと話して決めろ」
ステラの事を悪く言われるのは耐えられる。でも、こいつはお姉ちゃんを蔑んでいる。その事に耐えられなく、思わず魔法を発動させそうになった。
それを下卑た笑みで見つめながら国王は口を開いた。
「良いのか?お前の行動で姉が殺されるぞ。反抗せずに大人しく従っておけ」
何も言い返す事が出来なかった。ステラが歯を食いしばっていると隊長さんが口を挟んできた。
「その事ですが、アリス様は本当に無事なのでしょうか?」
「兵士風情が断りも無く口を開きやがって…まあ良い。そいつの姉は無事だ。無傷かどうかは知らんがな」
こいつはお姉ちゃんが生きていれば良いと思っているみたいだ。ステラはその事に再び怒りが込み上げてきた。お姉ちゃんは掠り傷程度なら回復魔法でどうにかなるが、そういう問題ではない。
「お姿を見るまで認める事は出来ません」
隊長さんは冷静に時間稼ぎをしていた。
「おい!連れて来い!」
国王はお姉ちゃんを連れて来るように指示を出した。
(チャンスだ…お姉ちゃんを開放させる。力尽くでも)




