74. 交渉
お姉ちゃんが崖から落ちた。一瞬その事実が呑み込めなかった。そして行動に移そうとした瞬間にダニーさんに話しかけられた。
「あれぐらいならアリス本人で何とか出来るよ。手助けは必要ないと思うよ」
言われて気が付く。確かにそうだ。お姉ちゃんなら一緒に落ちたバーデンを助けて一緒にここに戻ってくる。そう確信できた。
「それよりもこの道を魔法で直そう」
ダニーさんは馬を降りて、しゃがんだ。そして顔を歪めてから叫んだ。
「全員口を塞げ!そしてその場から動くな!」
ダニーさんの慌てぶりに唖然としながら口を塞いだ。そしてダニーさんは崖から飛び降りた。ステラ達は周囲を警戒しながらお姉ちゃんとダニーさんが戻ってくるのを待った。
それ程時間を置かずにダニーさんだけ戻って来た。
「やられたよ。二人を連れ去られた。下には馬の死体しかなかったよ」
ダニーさんはそのまま風魔法で周囲に強風を発生させた。
「この周囲に意識を失わせる粉が飛んでいた。恐らくそれでアリスは上手く行動できなかったんだと思う。隊長!捜索隊を!」
「ああ、分かっている。誰か!この周囲の地図を持っている者は居るか?」
ダニーさんと隊長が行動し始めようとしたところでクリストフがやって来た。
「おやおや、困りますね。この地であなた方に勝手に行動されると国際問題になりますよ?」
ダニーさんと隊長は頷き合った。その瞬間、隊長の部下がクリストフとその部下を拘束した。
「何のつもりですか?」
「お前らの策だという事は分かっている。二人をどこにやった?」
「拘束を解け」
クリストフは高圧的に言葉を発した。
「私が予定通りにこの山を下りなかった場合は二人を殺す手筈になっている。お前らに選択肢はないんだよ」
「…仕方ない。従おう」
ダニーさんが従う意を示した。それに続いて隊長も仕方が無くそれに従った。クリストフ達は拘束を解かれた。そのまま私達に話始めた。
「我々が欲しいのはステラ様の身柄のみ、抵抗なく手渡せば二人も無傷で解放しよう」
「二人の生存が確認できなければそれは受け入れられない」
その提案にダニーさんが強気に反発した。クリストフは顔を歪めながら考え始めた。
「まあ、良い。王の元に着くまでに答えを出せ。それから、誰かがここから居なくなった事が分かればすぐに合図を送って殺させる。分かったな?」
「ああ、分かった」
大人達の会話に口を挟めないまま、話は進んで行った。
(ステラに出来る事…)




