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73. 罠

 その後も何事も無く私達は進んで行った。護衛の皆もずっと警戒をしていて疲弊し始めていた。私が相手の立場なら、今が狙い目だろう。何か仕掛けるなら、疲弊してきた今がチャンスだろう。


「何も仕掛けてこないね」

「良い事じゃないか」


 休憩中、私はダニーさんに話しかけた。想像と違って相手は何も仕掛けてこないまま、平和に時間は過ぎていた。何か気が付いていないかダニーさんに聞いてみたが、何もないらしい。


(このまま、何も起きないのかな)


 そのまま、私達は歩みを進めた。


「ここから先は道が狭く、片側は崖だ。よって列が長くなる。警戒を最大限にしろ」


 山道が続き、片側が崖の道に辿り着いた。今までみたいに護衛達が広がって進む事は出来ない。よって、列が長くなってしまう。警戒を最大限にするようにと隊長さんが部下に指示を出していた。


(いよいよかな)


 まず、案内役のクリストフが先頭、そして護衛達、ダニーさん、ステラ、私、マーク、そして護衛達の順に山道を進んで行った。

 片側の崖に落ちないように慎重に馬を歩かせる。ここで襲われれば、上手く動けずにやられたり、体制を崩して崖に落ちたりしてしまうだろう。襲ってくるのが凄腕の人物では無い限り、私はやられないと思っているが、油断は禁物だ。


「えっ?」


 それは一瞬だった。私の馬が歩いている下が崩れた。馬が暴れながら崖から落ちた。私も一緒に落ちていく。でもこの程度なら私には問題が無い。崩れる岩を足場にして、元の道まで上がる事が出来るだろう。馬は可哀想だが、見捨てるしかない。今の私に助ける術は無い。


(あれ?)


 しかし、元の道に上がる事が出来なかった。私が岩を足場にしようとしたところで気が付く。私の足にマークが抱き着いていた。マークも一緒に落ちたみたいで、咄嗟に私に抱き着いたようだった。抱き着かれている所為で、私は上手く動く事が出来なかった。


「マーク!一旦離れて!大丈夫!助かるから!」


 マークは一旦私から離れてくれた。私はマークを腕に抱えて、崩れる岩を足場にする。それで、元の道まで戻ろうとするが、またしても上手くいかなかった。


(何?魔法?攻撃?)


 何故か分からないが、体に力が入らなかった。徐々に意識も遠くなっているようにも思えた。私は意識を失わないようにしながら、崩れる岩の位置を把握した。


(動け!)


 足場にする順番を把握して、行動に移す。しかし、体が上手く動かずに上に上がる事が出来なかった。薄れていく意識の中で思った。


(ステラとダニーさんなら助けてくれる)

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