71. 国境
出発してから数日が経った。いよいよアジオンブリア王国との国境に差し掛かろうとしていた。国境に近づくにつれ、周りが緊張していっているのが伝わってきた。
国境付近には今も両軍が居て睨み合いをしている。そこを今から通ろうとしている。私達が通る事によって色々な事が仕掛けられるとキャロリンお姉ちゃんは予想していた。私達の中から攻撃したようにして開戦を促したり、私達を攻撃する事でタクステディア王国軍に攻撃をさせたりと色々な事を考えていた。
何にしろ、仕掛けるなら今が絶好のチャンスだ。
私も周囲を警戒しながら進んだ。隣をちらりと見るとマークは凄く緊張した顔で前を見つめていた。真剣な顔をしていた。
「国境が見えて来た!警戒を!」
今回の護衛の隊長さんが大きな声で周囲に指示を出した。私達は両軍が睨み合う広大な草原に辿り着いた。まず敵軍に先触れを出した。
(あ、パパの部下の人だ)
パパの部下でマイケルの父親を見つけた。こちらが見つめていると軽く会釈をしてきた。私も会釈をし返す。
(名前なんだったけ?)
パパの部下でマイケルの父親という以外は知らない。今度マイケルに聞こうと思ったところで思いつく。マイケルはマイケル・パーキスという本名だ。彼の父親の事はパーキスさんと呼べば良い事に気が付く。
私がそんな関係ない事を考えているとアジオンブリア王国軍に向かって行った先触れが帰って来た。隊長さんと話をした後、私とステラの元に隊長さんが駆け寄って来た。
「敵の主将はお二人にお目通り願いたいと言っております。質問されても何も答えなくて大丈夫です。全ては私が対応します。準備だけお願いします」
「「はい」」
準備と言われても何をすれば良いのか分からなかった。結局パーキスさんと話せないまま、敵軍へと進み始めた。敵軍、見方、両軍からの緊張感が伝わって来た。そんな居心地の悪い中、私達は堂々と進んで行った。
結局何も起こる事無く、敵陣に足を踏み入れられた。ここからは敵地という緊張感が湧き上がってくる。敵軍の前まで足を進めた所で皆の足が止まった。私も馬に止まるよう指示を出した。私の前に居た護衛達が道を開けた。その先には武装を外したおじさんが立っていた。そのおじさんはゆっくりと私達の前へと進んできた。歩いてきたおじさんは護衛に止められるまで歩みを止めなかった。歩みを止めた後、私達に膝を付いて首を垂れた。
(ここからは私の仕事だ)




