69. 旅行
「ごめんなさい。行くつもりだったんだけど、急遽やらなきゃいけない事が出来ちゃって」
キャロリンお姉ちゃんが当日になって行けなくなってしまった。キャロリンお姉ちゃんとの旅行が少し楽しみだったので、一緒に行けないのは悲しかった。それが少し顔に出ていたのか、ダニーさんがからかってくる。
「おや、僕じゃ不満かい?」
「…」
「君のそういう年相応の所は良いね」
子供扱いされているのが分かって、少しムカつく。
「本当にあのじじい共が余計な事しなければ…ごめんね、ダニーいざとなったら二人を抱えて帰ってきなさい」
「それくらいはやるさ」
そんな話をしてから、私達は王都の端にある門へ向かった。そこには護衛の人達や物資を運搬する人達で賑わっていた。
「アレックスさん!アランさん!」
「おう!アリス久しぶりだな」
「二人も護衛?」
「ああ、依頼されちまったし、お前らの護衛って聞いたからな」
「ありがとう!」
知った顔を見てついテンションが上がってしまった。私が喜んでいるとアレックスさんが真剣な顔をして口を開いた。
「良いか、最悪の場合は俺達を盾だと思え。これから行くのは敵地だからな」
「…うん」
「最近活躍してるお前らを潰そうっていう相手の思惑かもしれないんだ。気を引き締めて行けよ」
「はい」
言われて気が付いた。これから行くのは敵地だ。私だけ旅行気分だった事を少し反省した。周りを見れば皆、真剣な顔をしていた。私の考えの浅さが恥ずかしくなった。
「まあ、分かれば良いさ。ほらあいつはお前の学友じゃないのか?」
アレックスさんが指さした方にはマークが居た。マークは道中の私達の護衛だと言う。大人達に囲まれ続ければ、緊張して大変だろうからとキャロリンお姉ちゃんが手配したらしい。
「やあ、おはよう!良い天気だね」
「そうだね」
会話が続かなかった。同じクラスと言っても普段殆ど話さないので、こういう時に何を話せば良いのか分からなかった。ステラはまだアレックスさんと話している。
「彼らとは知り合いか?」
「うん、先輩冒険者」
「そう言えばブルスジルさんも冒険者だったね」
「アリスで良いよステラも居るし、ね!ステラ!」
「え?う、うん」
「そうか、ならそう呼ばせてもらうよ」
ブルスジルと呼ばれるのは慣れない。ずっとアリスと呼ばれていて、ブルスジルと呼ばれた事が殆ど無いからだろう。
(これから会話で困りそうだな)




