67. 言いがかり
「今、タクステディア王国とアジオンブリア王国、マンリーリア帝国が戦争状態にあるのは知っているわね」
「「はい」」
「マンリーリア帝国とは不可侵条約を結んでいるから暫くは様子見をしているわ。問題はアジオンブリア王国ね」
アジオンブリア王国もマンリーリア帝国も重税による経済苦によりタクステディア王国に戦争を仕掛けてきていると言っていた。魔族による関与も疑われているが、それは良く分かっていなかった。マンリーリア帝国とは国境付近の戦闘で勝利し、その後の戦いでも完勝した為、向こうから不可侵条約の締結を持ちかけて来た。多少の賠償金を貰った上でそれを承諾したと言われている。アジオンブリア王国は軍事力は強くないが人口が多い。その為、戦いに勝利しても相手の兵士の数が減らずに泥沼の戦いとなった。現在は睨み合いが続いている状況だ。
「アジオンブリア王国はね、降伏しても良いと言ってきているわ」
「へー」
思わず無関心な返事が出てしまった。それでも嫌な顔をせずにキャロリンお姉ちゃんは続けた。
「ある条件をこちら側に課してきているの」
「「条件?」」
私とステラは同時に質問をした。ある条件を飲めば、降伏に向けた話し合いをしても良いと言ってきているらしい。
「まず、私はあなた達の親はルークだと思っているわ」
「「?」」
キャロリンお姉ちゃんが話始めた事の意味が分からなかった。私とステラは首を傾げた。
「落ち着いて聞いてね。アジオンブリア王国はあなた達の事をアジオンブリア王家に連なる人物だと言ってきているわ。現王と妾との間に出来た子だと」
そんな事を言われても、パパはパパだ。受け入れられなかった。否定しようとしたところでキャロリンお姉ちゃんは続けた。
「アジオンブリア王国で双子は忌み子として扱われているわ。当時、王があなた達と母親を国外追放して、そしてルークに拾われたと考える事も出来なくもないわ。それにアジオンブリア王国は幾度かによる戦いで、王の子供が居ない状態となっているわ。早急に王家の血を引く者を欲している。正確には現王が男児を生んで、成人するまでの繋ぎを欲しているのよ」
キャロリンお姉ちゃんの話は理解は出来た。でも、私はそれは嫌だった。
「アジオンブリア王国は二人の生存が確認できるまで戦いを止めないと言ってきているわ。多くの兵が居るアジオンブリア王国と戦い続ければ、こちらの被害も甚大になる。あなた達はまずは私と一緒にアジオンブリア王国に行って欲しいの」
「…行くだけなら」
「お姉ちゃんが行くなら…」
私達は渋々承諾した。行かなければ、現状を打開できないとキャロリンお姉ちゃんは考えていると伝わったからだ。我儘を言ってはいけない。
(行きたくないな)




