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66. 操作

「恐らくだが、あれはただのちょっと強い魔界の人間だ。魔族が操っていた魔界の人間だろう。操っていたと言うより、洗脳されていたと言った方が正確かな。だから奴らはそれ程強くなかった。それで簡単に倒す事が出来たんじゃないかな」

「人を操れる魔族は結構居るの?」

「まあ、操ろうと思えば誰にでも出来るんじゃないかな。それに魔界の人間だけじゃなく、こちらの人間も恐らく操れるね」


 それは脅威だろう。魔族が操っている人間がもう既に王都内に潜伏している可能性もある。そうなっていると、この王都も安全とは言い切れないだろう。


「安心して、疑心暗鬼になる必要は無い。人を操るのは相当な準備が必要になる。今はまだ、あの五体だけだろう」

「今はまだ…」


 今後は分からない。魔族が本気でタクステディア王国を潰そうと思えば、それ程難しくないのではないかと思った。操った人間を内部に送り込み、内部分裂を誘発するのが最も簡単な方法だろう。


「操られてるか見分ける方法は?」

「う~ん、思いつかないな」

「そう」


 気楽な様子のダニーさんと強張った顔をしたキャロリンお姉ちゃんが対照的だった。


(…ダニーさんは相変わらずだな)


 思えば彼はずっとこんな感じだった。良く言えば冷静、悪く言えば何事にも無関心の様な態度。本人曰く、長い間に色々な事があれば誰でもこんな風になると言っていた。


(冷静さは見習いたいけど、無責任感はちょっとね…)


 私がそんな事を考えている間も話は進んで行く。


「あなたは協力してくれるの?」

「まあ、ルークの娘達の面倒を見るくらいはするけど、政治のごちゃごちゃには関わりたくないかな」

「良く知っているのね」

「まあね」


 私の知らない話になっていた。政治絡みの何かが起こっている様だった。ダニーさんは関わりたく無い事が強く伝わってきた。

 そして、キャロリンお姉ちゃんは私達の方を向いて口を開いた。


「後はアリスちゃんとステラちゃん、それからダニーが居れば良いわ。二人はもう帰って休みなさい」


 今日一日は色々あった。今はもう日も暮れている。ティナとマイケルは大人しく寮へと帰って行った。


「さて、二人には大事な話があるわ。帰って休みたいだろうけど、ちょっとだけ私の話を聞いて頂戴」


 キャロリンお姉ちゃんは真剣な顔をして、私達に向き合った。何やら面倒事があるみたいだ。それも私達に関係のある事のようだ。


(…何だろう)

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