65. 残処理
「それじゃあ、王都を囲っている魔物も討伐に行こうか」
「「「「はい」」」」
私達は少し休憩した後、移動を開始した。遠くに土煙が見えた。まだ戦いは終わっていない。私達はすぐに戦いに加わった。
魔物が王都を守る軍とぶつかっている後ろから魔族を襲撃した。魔族達の不意をつく事で、今回は難なく討伐をする事が出来た。後は統率が取れなくなった魔物を軍の兵士と共に討伐していった。
「不意打ちとは言え、魔族を倒せるくらい強くなったね。ルークも喜ぶんじゃないか?」
戦闘が終わった後、ダニーさんが褒めてくれた。でも私は嬉しくなかった。
「だめ、正面から勝てるくらいに強くならないと…」
「…まあ、のんびりやれば良いさ」
寿命の長いダニーさんと違って、私達には時間が無い。私にはゆっくりしている気持ちは無い。
「おお、アリスじゃねえか。何で居るんだ?」
私が自分の弱さを見つめていると、今度はヤニックさんが話しかけてきた。
「無理言ってキャロリンお姉ちゃんにお願いして、ダニーさんに連れてきてもらった」
「へえ~あんたか、アリスが世話になったな」
「いや、友人の娘だからね。放って置けなかっただけさ」
「友人…ルークって友達いたんだな」
ヤニックさんとダニーさんは楽しそうに会話を始めた。パパの事で話が合うみたいだった。
「ヤニックさんは何でここに居るの?」
「ん?俺は軍人だ。こういう時の為に日々鍛錬してるんだ」
「そっか」
そんな他愛のない会話をしてから、私達はキャロリンお姉ちゃんの屋敷に戻った。キャロリンお姉ちゃんに顔を見せた途端、私達に抱き着いてきた。
「無事に帰ってきてくれて良かったわ。ダニーもありがとうね」
私達はまだまだ未熟者だ。だから心配をされていた。そう思った。妥当な評価だとも思った。
「それで、今回の騒動には目的が無い様に見えたんだけど、ダニーは何か知っている?」
「ん~、そうだね。嫌がらせみたいに見えるね。ただ…」
「ただ?」
「あれは正確には魔族では無いと思う」
「どういう事?ダニーさん」
思わずキャロリンお姉ちゃんとダニーさんの会話に割って入ってしまった。しかし、魔族では無いという言葉を疑わずにはいられなかった。彼らは十分に強かった。それが魔族では無いとなれば、本物の魔族はどれ程強いのか、想像が出来なかった。
偽物にも敵わないのに、本物に敵うはずが無い。そう思った。
(上には上がいるな…)




