64. 自信
魔族の足止めをするだけ。俺は正直それ以上、倒す事も出来ると思っていた。俺一人では無理でも、この四人なら魔族にも負けない。そう思っていた。それに俺はこの一年で自分でも信じられないくらい強くなった。まだティナには敵わないが、それもこの後の鍛錬次第でどうにかなりそうな距離まで来る事が出来たと思っていた。ティナとアリスの戦いを見てそう思った。ティナのあの攻撃は躱すことが出来る。それも俺でも出来る方法で。魔力で防御して突っ込むのは出来ないが、躱す事が出来る。その事実が自分はまだ強くなれると分かった。
魔族との戦闘は森に入って程なくしてして始まった。魔族の先制攻撃をアリスが防いだ。俺は一瞬驚いたが、すぐに体が動いた。吹き飛ばされたアリスに代わって、魔族に攻撃を仕掛けた。俺の攻撃は余裕で躱された。続くステラとティナの攻撃も躱された。それでも俺は攻撃の手を緩めなかった。俺の役目は魔族を引き付け、後衛の二人を動きやすくする事だからだ。
魔族の剣は重かった。普段相手にしている大人達よりも重かった。受け止める事は難しかった。アリスがしている真似をして、相手の剣を受け流す事に集中する。しかし、アリス程上手くは捌く事が出来ず、アリスにフォローされる。このパーティーで足手纏いになっている。そう思った。
それでもい今はこの魔族を倒すのが先だ。考えるのは後にする。
(…集中力が切れそうだ)
常に全力で相手の剣を見切っていると、頭が疲れて来た。アリスにもそれが伝わったのか、俺に下がるように指示をしてきた。これ以上足手纏いになりたくないので、素直に後ろに下がって回復する事にする。
(俺は無力だな)
正直、周囲よりも強くなって思い上がっていたと実感した。自信が無くなりそうになりながら、回復に専念する。
ティナに回復魔法を掛けてもらいながら、戦況を見る。アリスが周囲を気にせずに攻撃を始めた。恐らく前に教えてもらった魔力操作を使っているのだろう。俺には習得出来なかった技だ。俺は感心しながら見ていたが、それでも魔族を倒すには至らなかった。
(…っ!まずい!)
アリスが魔族の剣を受けそうになり、俺は咄嗟に前に出ようとする。しかし、俺は間に合わずステラが魔法で援護した。それによりアリスはその場を離れる事が出来た。
再びアリスと魔族が向かい合った。
「良く耐えてくれたね。ここからは僕の仕事だ」
魔族が再び動き出そうとした瞬間にダニーさんがやって来た。それに俺は安堵した。このままでは俺達は恐らく負けていた。
(助かった…)
俺は今回も何の役にも立てなかった。俺が彼女達に付いて行くにはもっと強くならなければならないと思った。
(強くなりたい)




