62. 作戦
「遠回りになるけど迂回して後ろから回り込もう」
ダニーさんのその意見に反対する人は居なかった。私達は既に戦闘準備は終わっていた。
「良い?皆、討伐はダニーに任せてあなた達は時間稼ぎに徹する。約束して」
「「「「はい!」」」」
キャロリンお姉ちゃんに口酸っぱく言われながら、私達は出発した。王都を出て、魔物の群れと兵士の戦う戦場を迂回して魔族が潜伏しているという森へやって来た。
「魔族の場所分かるんですか?」
「何となくね」
ダニーさんはどうやってか分からないが、息を潜めている魔族の場所が分かっている様だった。私達には分からなかった。魔力の膜を使えば、探知できるが、この広大な森を探索するには魔力が足りないし、それほど広大な魔力を上手く制御も出来ない。
(やっぱりこの人は凄い)
私がダニーさんに感心していると、ダニーさんは私達に指示を出してきた。
「そこから真っ直ぐ森に入ってくれ。気配を消さずにね。そうすれば魔族の一体に会える。その間に僕はもう一体を始末してくるよ。時間稼ぎよろしくね」
「「「「はい」」」」
私達は言われた通り、気配を消さずに森へと入った。森に入った途端、誰かに観察されている視線を感じた。私は周辺に魔力の膜を広げて、周囲を警戒した。ステラも同様に探っている様だった。
「お姉ちゃん!」
「分かってる!」
私は前に出て、魔族の剣を受け止めた。凄く重い一撃だった。私は受け止めきれずにそれを受け流した。後ろに吹き飛ばされながら魔族から目を離さなかった。私が魔族の攻撃を受け流してから、即座にマイケルが前に出た。それにステラが無詠唱で雷の矢を魔族の頭に出現させた。それを魔族は易々と躱した。躱した先にティナの銃が襲い掛かったが、それも魔族は体を少し捻って躱した。
(やっぱり強い。実戦経験の差が大きいんだと思う)
魔族は戦いなれていた。私達の連携を容易く躱し、逆に私達に攻め込んで来ていた。
(大丈夫。作戦は時間稼ぎ…でも)
時間稼ぎをすれば良いと分かっているが、それだけでは誰かがやられる。そんな気がした。
しかし、私とマイケルの剣、ステラと私の魔法、それにティナの銃を器用に避ける相手に何も出来ずに時間だけが過ぎていった。そろそろマイケルの集中力が切れそうな感じがした。
「マイケル!一旦距離を取って!」
「了解!」
「ステラ!大きな魔法を放って、マイケルの後退を援護して!」
「分かったお姉ちゃん!」
ステラの氷魔法が魔族の周囲を凍らせた。流石に魔族もその広範囲攻撃は危険と感じたのか後方に跳んだ。その隙にマイケルが下がった。
(でも、ここからどうしよう)




