57. アリス vs ティナ②
私は足裏から下に魔力を放出して、着地時間をずらす。そうする事でティナの魔法を避ける。ティナはそれを予想していたのか、すぐに魔力の球と線を飛ばしてきた。
(面倒くさいな…)
このまま避け続けていても、私はミスをしない自信は無かった。ミスをした瞬間、私はティナの魔力操作に蹂躙されるだろう。そうすれば私は負ける。
(ステラは上手く避けるんだろうな)
成長するにつれて、私達双子は得意分野が分かれてきた。私は体を動かす事や剣術が得意だった。ステラは頭を使う事や魔法が得意だった。ステラならこの状況でも冷静に対処して逆にティナを追い詰めていくのだろう。でも、私にはそれは出来ない。というか向いていない。
(これをしたら、またステラに脳筋と言われるんだろな)
私は前に出た。それと同時に魔力を体外に、体を覆うように集める。通常の魔力には触れている感覚はない。ただ、集めて固めれば多少の強度を得る事が出来る。パパ程の強度は作る事は出来ないが、ティナの魔力操作で操る魔力ぐらいを防ぐ強度は私でも作る事が出来る。
魔力の球や線を堂々と受けながら私はティナに近づく。ティナは慌てて魔法の詠唱を始めると同時に腰の剣を抜いた。
(遅いよ、ティナ)
私はティナから放たれた魔法を最小の動きで躱してから、ティナに剣を振るった。ティナもそれに剣を合わせてくる。一撃目は防がれた。二撃目はフェイントを入れた。それにティナは騙されそれに剣を合わせてきた。そこで透かさずティナの剣を弾き飛ばす。無防備になったティナの首に剣を突き付けた。
「そこまで!勝者、アリス・ブルスジル!」
ティナはその言葉を聞いて笑った。
「流石にそのまま突っ込んでくるとは思わなかったよ」
「面倒くさかったからね」
私はそこで気になっていた事を聞く。
「それで、隠してたのって何だったの?」
「…」
ティナはきょとんとした顔をしていた。私も不思議な気持ちになる。お互いに無言のままの時間が流れた。
「魔力で線を作って飛ばす奴だよ」
「ああ、あれは魔力操作の応用の範疇だから新技だとは思わなかったよ」
「応用の範疇か…私もまだまだだったみたいだね」
ティナは納得した顔をしていた。私はあれは応用の範疇だと思っていた。何なら網の様に加工して飛ばしてくる事も予想出来たので、隠していた物だとは思っていなかった。
それを伝えるとティナは新たな発想を得たと言っていた。
(ティナって頭は良いけど、頭硬いよね)




