56. アリス vs ティナ①
「楽しみだったよ、アリス」
「私もだよ、ティナ」
私達は向かい合って会話した。そしてその後すぐに審判が開始の合図をした。
私は合図と共に前に出た。ティナが魔法を唱える前に切り掛かる。それと同時に魔力の薄い膜を広げて、ティナが魔力の球を飛ばしてきていないかを確認した。案の定、ティナは魔法が間に合わないと悟ると魔力の球を飛ばしてきた。私の四方から高速で魔力の球が飛んで来た。それは魔力操作というよりはまるで魔法の様だった。
私は全ての魔力の球の進行方向を把握した。そして、回避の方法を瞬時に考える。
まず、前方から来た魔力の球に魔力を纏った剣を下から振り上げ、触れさせる。そして、魔力の球を進行方向を少しずらさせる。それで出来た隙間に進んで、他の魔力の球も避ける。
全ての魔力の球を最短で躱せて私は思わず微笑む。
魔力の球を避けたついでにティナに近づく事が出来た。そのまま前に進もうとしたところで私は右に大きく飛んだ。私が進もうとしていた場所を魔力の線が数本通り過ぎていった。ティナは魔力を縦線にして飛ばしてきていた。地面に複数本の線が引かれていた。
(もう、魔力操作じゃないよねあれ)
殆ど無詠唱の魔法と同じ攻撃に感じた。元々、魔法は魔力を基にして現象を引き起こしている。見た目的には魔力を魔法操作で飛ばすのも魔法と言って良いのではと思った。
「魔力の球は避けられると思ってたからね。対策しといた」
「…」
ティナは私の動きを完璧に読んでいる。このままいけばティナの思うように動かされ、ティナの想定通りの結果に持っていかれると思った。
ティナの考えを読もうと考えていると、考える時間を与えないように魔力の球を飛ばしてきた。私は最初と同じようにそれを避ける。さっきと同じ攻撃かと思ったら、今度のは地面に多く当たるような軌道で魔力の球が飛ばされていたようだ。その所為で周囲に土煙が上がった。そして土煙の中から魔力の線と魔力の球が飛んで来た。球は剣で斬ったり逸らしたり出来るが、線は斬っても、そのまま進行してくるし、逸らす事も難しい。
私は上から飛んでくる魔力の球を逸らして逃げ道を作って、上に跳んだ。私の足元を魔力の線が通り過ぎたのを感じた。
魔力操作の攻撃は広げた魔力の膜で感知できているので、ティナの不意打ちは意味がない。が、逃げ場を誘導されているような気持ちになる。現にティナを私の着地地点に向かって魔法を撃っていた。
(頭を使う戦いは疲れるな)




