54. ティナ vs マイケル
傍からはティナが押しているように見えたが、ティナには決定打が無かった。マイケルに上手くいなされていた。マイケルがティナの攻撃に慣れてきて、段々とマイケルが反撃できるようになっていた。
(このままなら、マイケルが押し勝ちそうだけど、どうするんだろうティナ…)
私がティナの心配をしているとステラが話しかけてきた。
「ティナまだ本気出してないけど、どうするんだろう?」
ステラが私と違う意見を言って来たので不思議に思い、私は再びティナを観察する。
(あ!)
ティナは得意な魔法を全然使っていなかった。ティナの魔力はまだまだ大量にある。それを使っていないからステラは本気を出していないと言ったのだろう。そしてティナは少し笑っていた。まるでマイケルで遊んでいるように見えた。態と不得意な剣で相手をしていると気が付いた。
そんな二人が何度目かの仕切り直しをし、距離を取って向かい合った。二人は会話をしている様だった。明らかな時間稼ぎに私は再び気が付く。
(あ~、あれは小さい頃よくなったやつだ)
魔力操作で身体を無理やり動かすと、体が悲鳴を上げる。慣れない動きに身体が持たないからだ。小さい頃はよく全身が痛くなって、パパに泣きついていた。そしてパパに回復魔法を掛けてもらっていた記憶が蘇る。
それと同じ状態にティナは今なっている。だから会話をして、ある程度回復するまで時間稼ぎをしている。そう思えた。
痺れを切らしたのかマイケルが前に出た。ティナは身体が思うように動いていないようだった。無理やり魔力操作で身体を動かしているように見えた。
すぐにティナがやられるかと思ったが、その前にマイケルが何かに吹き飛ばされた。私には何をしているのか分からなかった。
「…あれは…魔力を小さい球にして、高速で飛ばしている」
ステラに言われてまた気が付く。目を凝らすと、ティナから小さな魔力の球が大量に高速で発射されていた。それがマイケルを襲っていた。マイケルは魔力の球の包囲から逃げる事が出来ず、手も足も出ずに、魔力の球に蹂躙されていく。そして、そのまま試合は決着がついた。
「ティナのあれは厄介だね」
「そうかな、斬れば良いんだよあんなの」
「お姉ちゃん最近脳筋になってきていない?」
魔法が得意なステラには確かに脅威かもしれないが、私ならあれを斬って躱せると思った。それで出来た魔力の球の弾幕の隙間からティナに近づいて、止めを刺す。我ながら完璧な戦略だと思ったが、ステラにはそう思えなかったみたいだ。
(ティナと戦いたいな)




