50. 修行
「基礎の強化?」
「言葉で理解するより実際に動いた方が分かるだろう。今日はもう遅い。明日もまた来い」
「はい!」
最後までヤニックさんが何が言いたいのか分からなかったが、今日は帰る事にした。キャロリンお姉ちゃんと一緒に訓練場を後にした。
「じゃあ、明日からも頑張ってね」
「…ありがとうございました!」
「良いのよ」
そう言ってキャロリンお姉ちゃんは去って行った。
私はその次の日から、放課後はヤニックさんの元に通っている。毎日魔力の使用を制限して基礎練や模擬戦で実戦的な技術を学んでいた。魔力が無い私は多少剣が扱える子供だった。
(魔力っを使っていないのに、何で皆そんなに強いんだろう?)
「ここでは魔力を使うな。でも家ではちゃんと使った動きを練習しておけ」
「はい!」
魔力を使わない事で私は私の体についてよく理解が出来るようになった。反応速度も上がっているような気がした。不思議な事だった。
(いや、違う)
私は今まで魔力に頼り過ぎていた。そのお陰で格上の相手と戦う事が出来ていたが、それではもっと強い相手には対応が出来なくなる。それを自分で魔力を封じる事で感じていた。パパの言っていた基礎が大事という意味がやっと理解出来た気がしていた。
今日も沢山負けたが、学ぶ事は沢山あった。気持ちは不思議と落ち込んでいなかった。強くなれる可能性がある事は嬉しかった。
「アリスは向上心があって凄いな」
ヤニックさんが訓練終わりに話しかけてきた。
「俺の息子は周りよりも強いからって自惚れて努力を怠っていてな」
「へぇ~」
「興味無さそうだな」
「はい!」
ヤニックさんに苦笑いをされてしまった。でも、正直全く興味の無い話だった。それよりも今日分かった事を参考に日頃の鍛錬を改善したいと思っていた。早く体を動かしたかった。
私はヤニックさんに礼を言ってから訓練場を後にする。帰り道にステラに偶々会ったので、お互い今日やった事を話しながら寮に帰って来た。
「魔法って考え方で色々な見方が出来るんだね」
「でしょ!凄いよねお姉ちゃん」
私はこれ以上使える魔法を増やそうとは思っていないので、実践しようとは思わないが知識としては役に立ちそうだった。それから日頃の鍛錬をして、お風呂に入ってご飯を沢山食べて、たっぷり睡眠を取る。夜にパパとお話し出来ないのは寂しいが、毎日やる事で沢山だった。
(明日も頑張ろう)




