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49. 才能

 私は負けた。仰向けになってその事実を嚙みしめると、涙が出てきた。


「アリス、悪いな。お前が強くて本気を出してしまった。泣かすつもりは無かったんだ」

「…」


 私はゆっくりと起き上がって礼をする。それからヤニックさんに駆け寄った。


「私に剣を教えて下さい!」

「…思ったよりはへこんでないんだな。最近骨のあるやつが居なくてな。良いぞ」


 許されて私は嬉しくなった。この流れを見ていたキャロリンお姉ちゃんが近づいて来た。


「この子はルークの娘なのよ」

「ルークか」

「パパを知ってるの?」


 ヤニックさんもパパを知っているみたいだった。負けた事など忘れたように前のめりに聞いてしまった。ヤニックさんが苦笑いをしながら答えてくれた。


「ああ、だがそう言う事か」

「どういう事?」

「あいつには魔法の才能はあっても剣の才能は無いからな。いや違うか、対人の才能と言った方が良いかもな」


 対人の才能が何なのか分からなかった。パパは確かに剣の教え方よりも、魔法の教え方の方が上手かった。魔法の方が才能があるのは理解できた。剣の才能が無くても対人の才能はあるはずだ。分からない顔をしているとヤニックさんが教えてくれた。


「あいつが本来得意なのは守りの戦いだ。剣の才能が無いあいつは相手の動きに武器を合わせて防ぐ事で作った隙に魔法を叩き込むのが得意だ。」

「でも、剣の才能が無いとそれも出来ないんじゃ」


 その戦法は剣の、武器の扱いが出来ないと成立しない戦法だ。


「あいつの場合は、魔力で無理やり相手に合わせているだけだ。足りない速度を色々な方法で補っているだけだ。その魔力の扱いが誰よりも上手いから強い。それだけだ」

「私もそうすればもっと強くなるって事?」


 パパはよく基礎が大事だと言っていた。だから魔力操作をもっと極めれば、パパみたいに強くなれる。そう言う事だと思った。


「いや、アリスにその才能は無い」

「…え?」


 一瞬頭が真っ白になった。


(私はこれ以上強くなれない…)


 そんな絶望を目の前にした顔をしていると、ヤニックさんは私の肩を叩いて言ってくれた。


「だが、剣の才能はある」


(ああ…)


 パパがずっと私に言っていてくれた言葉だった。だから剣で戦う事を覚えてきた。でも、もっと強くなる方法を否定されて良く分からなくなった。頭が混乱してきた。


「まずは魔力に頼るのを止めるところからだな」

「頼る?」

「本来それは、お前ら親子しか使えないその力は、応用の強化が目的であって、基礎の強化に使う物じゃない」


(考えすぎて頭が痛くなってきた)

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