48. 模擬戦
「お嬢ちゃん、名前は?」
「アリス・ブルスジルです」
「アリス、お前はかなり強い。見れば分かる。何故強さを求める」
強さを求める理由それは一つしかない。私はパトリシアお姉ちゃんの顔を思い出す。そして、ステラ、ティナ、マイケル、シシリー、色々な人の顔が思い浮かぶ。
「守りたい、守りたい人が居るから」
「…っふ、歳の割に良い目をしてる。良いだろう。剣を構えろ」
ヤニックさんは模擬戦用の剣を持つと空いている広い場所へと移動していった。動きを見るまで分からなかった。この人は強い。そう思った。私も慌てて模擬戦用の剣を手に取り、ヤニックさんと距離を置いた位置で対面する。
「アリスは何を使っても良い。かかってこい。お前合図を」
部下の人にヤニックさんは合図をするように指示を出した。流石軍隊の人だ。キビキビと素早く動いた。
「では、始め!」
相手は確実に格上だ。私は最初から全力で、今の全力で勝ちに行こうとする。まず、魔力を足に集めて一気に放出して加速する。一気に接近して相手の頭に思いっきり剣を下から振ろうとする。しかし、私の剣は弾き飛ばされた。ヤニックさんは私の手が来る位置に剣を合わせて置いていただけだ。それに私の勢いがついた手がぶつかって、痛みで剣を話してしまった。私の頭の前には相手の剣があった。
「剣を拾え」
私はすぐにその場を後ろに跳んで離れて剣を拾った。そして再び向かい合った。
(私の動きは読まれている、なら)
私は魔力の薄い膜を広げて相手の体内の動きを把握した。そして再び近づいてフェイントを入れてから剣を振り下ろそうとする。その瞬間、相手が動こうとしているのが分かった。
(空いた胴体が狙われている。それに速い)
私は魔力を前方に放出して後ろに逃げる。今まで私が居た場所に相手の剣が通り過ぎた。
「これを避けるか。良い目をしているな。いや違うか、感覚か」
私の今の攻撃のよけ方は、予想だ。だから感覚で相手の動きを読んだ。ヤニックさんの言う通りだと思った。
私は息を整えて再び相手に迫った。しかし、何度攻撃しようと相手に当たる事は無かった。相手に躱されるか、攻撃事態をさせてくれなかった。
(なら)
魔力を使って自身を更に加速させる。そうする事で相手の動きよりも速く攻撃を叩き込もうとする。しかし、今までと同じだった。相手は私の動きに合わせて剣を振っていた。この速度では上手く体を動かせない。相手の剣が私に襲い掛かった。私は吹き飛ばされた。
「そこまで!」
(負けちゃった…)




