47. 焦り
次の日から学園が終わった後、ステラはダニーさんの元に行っていた。私も一緒に行かないかと誘われたが、私には魔法の才能が無い。魔法を極めるのではなく、体術や剣術を極めたいと思っていた。だからその誘いは断った。私は私の向いている事を、才能を伸ばそうと思った。
パパの剣があれば、大抵の事は力技で解決する事が出来る。でもそれだけではステラに置いて行かれると思った。もっと基礎、体術や剣術をより鍛錬しようと思う。
でも、パパが居なくなった今、私は誰からそれを教われば良いのだろうか。それとも自分で考えないといけないのか。そうした時、自分の力で何とか出来るだろうか。
私はふらふらと王都を歩いていた。マイケルも修行に行くと言っていたので、冒険者活動は暫くは中止になった。私はする事が無くなった。厳密には日課の鍛錬があるが、それ以外にする事が無かった。
「アリスちゃん?」
「…キャロリンお姉ちゃん」
私がトボトボと歩いているとキャロリンお姉ちゃんが声を掛けてきた。私が浮かない顔をしていたから声を掛けたと言っていた。私は今の気持ちを自分の言葉で、キャロリンお姉ちゃんに話した。話している途中から何の涙かは分からないが、自然と流れてきた。暫くはキャロリンお姉ちゃんが背中を擦ってくれた。そうされていると何だか落ち着いてきた。その優しさに少しパトリシアお姉ちゃんの事を思い出した。
(私は強くなりたい)
「そう言う事なら私に任せなさい!」
「…?キャロリンお姉ちゃんは強いの?」
「いいえ、そうじゃないわ」
キャロリンお姉ちゃんは付いて来なさいと言うとゆっくりと歩き出した。私もその後に付いて行く。着いた先は訓練場だった。恐らく軍の施設で一般人は立ち入り禁止だろう。キャロリンお姉ちゃんのお陰でその場所にも入る事が出来た。
「ここでは対人の基本しか学べないけど、今のあなたなら学ぶ事も多いはずよ」
キャロリンお姉ちゃんに言われて訓練の様子を見ても良く分からなかった。確実に皆私よりも弱そうに見えたからだ。キャロリンお姉ちゃんは誰かを探して、目的の人が見つかったのか、その人に近寄って行った。私も大人しくその後に付いて行く。
「お久しぶりです。チェン様。頼みたい事があるのですが」
「そんな余所余所しい言い方は止めてくれ、昔みたいにヤニックおじちゃんと呼んでくれ。それで頼みたいのはその子か?」
「ええ、ちょっと自信を無くしちゃっているみたいでね」
「ほう」
(この人は何を教えてくれるのだろう)




